TENSEI塵語

2004年10月28日(木) 志多ら太鼓

創立30周年の式典は、きわめて静粛に進行した。
開式の30分も前からほとんど静かな状態が続いていたし、
ちょっと席を移動させるのも、目立つからと恥ずかしがるほどだから、
もう放っておいても大丈夫、何も心配はいらないと思った。
うっとおしい起立・礼・着席の繰り返しも機敏だったし、
国歌・校歌もそこそこに声が響いていたし、
ま、全体として、非難すべきことはない、上出来の式典だったと思う。
永年勤続者の代表の「一言」が、進路指導に熱心だった人だったので、
やたらと長話になってしまったのが残念だった。
話し始めてから、自分のその場面での役割を見失ってしまったのだろう。

式典後のイヴェントは、設楽郡に本拠を置く志多ら太鼓だった。
近年は海外でも活動している、プロの和太鼓中心の邦楽集団である。
動きは躍動的だし、技術もアンサンブル力も確かだし、
視覚的にも聴覚的にも十分楽しめる舞台である。
終わってから、感動した〜、とわざわざ訴えている生徒を何人か見た。

最近のこういう集団の音楽は、笛や三味線などの旋律は和風なのだが、
太鼓のリズムは決して和風なだけではない。
ラテン、ジャズ、ロックなども融合した、実に凝ったリズムを駆使している。
アンサンブルもかなり入念な構成になっていて、
変化に富んでいるだけでなく、緊張感や高揚感もよく計算されている。
伝統的な和太鼓演奏も魅力があるが、長持ちはしない。
1時間以上の公演には耐えられないだろう。

聞きながら、何年か前に市吹で演奏した「メトセラ」という曲を思い出した。
その曲で最も苦労したのは、無調・無拍子的な部分以上に、
太鼓群のみのアンサンブルの部分だった。
本番直前まで、リズムの正確さや、タイミングや音量、表情などを調整した。
メロディーなしで音楽を楽しませるというのは、たいへんなことなのである。


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