TENSEI塵語

2004年08月15日(日) ICO 全クリ!

今朝4時半ごろに「イコ」を終えた。
余韻がなかなか引かないで、6時近くにようやく眠れた。
起きたのは正午ちょっと前である。

このゲームを始めたのが11日で、この日は1時間だけだった。
翌日は夜になってから、4、5時間、
13日は昼ごろから暇さえあればやってたから10時間くらい?
昨日は昼間はずっと仕事してて、夜中に始めたから数時間、
全部でだいたい20時間前後でできそうな、手ごろなゲームのようだ。
謎解きが主なので、攻略法を知ってしまえば2、3時間でできそうだ。
予想よりうんと早く終えることができたのでありがたい。
昨今では珍しい簡素なゲームである。

しかもうれしいことに、ここでは手持ちの武器や道具の何を使うか、
貯まった金で何を買っておくか、、、などという要素も何もないし、
主人公のレベルをあげてどうのこうのというものも何もない。
ゲーム市場では煩わしくなる一方のそういう要素は何もない。
言葉もない。最小限の会話がアニメイヴェントで交わされるだけだ。
音楽もほとんどない。その代わり、擬音や効果音は精密に使われている。
そんな中で、ただただ行き止まりになった場所から先に進むための
唯一の手がかりを見つけることに専念するだけだ。
時々〈影〉なる集団が連れている女の子(ヨルダというらしい。城の女王の
娘)をさらって穴に引きずりこもうとし、
救出に遅れるとゲームオーバーになるので、それらと闘わなければならない。
しかしそれも、だんだん忙しくはなるが、コツをつかめば難儀ではない。

簡素なゲームだし、つきあう時間も短かったわりに、
そのゲームの世界は知らないうちに心の中にひたひたと浸食してくる感じだ。
それは、このゲームの雰囲気のせいでもあり、
精巧なグラフィック、美しい風景のせいでもある。
しかし、何といっても、白い少女ヨルダを連れて歩くせいだろう。
ヨルダの手を引いて歩き、走り、階段を駆け上がり、駆け下りる。
ヨルダは遠くから呼ぶと、優雅に反応し駆け寄ってくる。
梯子も、どんなに高いはしごでも後からゆっくり昇ってくる。
段差のあるところでは、呼ぶと手を伸ばして跳び上がるので引き上げてやる。
途切れた通路でも、後から跳んで来て落ちかけるのを、引き上げてやる。
ところどころにあるソファに、手をつなぐコマンドのまま
主人公を座らせると、ヨルダも後から座って休息する(セーブポイント)。
そうして苦労をともにするのだが、、、それだけではない。
手をつなぐたびに、コントローラーが、ドクン、と反応するのである。
そうして手をつないで歩いていると、ドックン、、、ドックン、、、と、
あたかも鼓動か拍動が伝わってくるような趣向が施されている。
ゲームの世界に浸り込むにつれ、知らないうちに、
ヨルダと命を共有しているような感覚にもさせられてしまうのである。

昨夜1時ごろに、そのヨルダとはなればなれになってしまった。
正門から橋を渡って逃げる途中で橋が割れ、ヨルダは連れ去られたらしいし、
主人公のイコは下に落ちてしまう。
そこから先は、セーブポイントがぜんぜんなかったので、中断できなかった。
私の場合そこからエンディングまで3時間半ほどかかってしまったが、
先へ進めば進むほど、しかもセーブポイントがなさそうだとわかるほど、
途中でやめるわけにはいかなくなった。
簡素で短いゲームだけれど、何という試練が待ち受けていたことか。。。
しかも、今までゲームの中で培った知恵を総動員し、
操作がうまく行かなくても根気強く試み続けて先に進んで行くのである。
とても長い道中であった。
そうして、やっとたどり着いた城の中で、ヨルダは石にされていて、
城の女王との苛酷な闘いが待っていた。
もっとも、その苛酷さは攻略法を見つけるまでの間のことで、
それがわかってくれば大した勝負ではなかったのだが。。。

そしてもちろんのことだが、その間ずっとヨルダの身を案じているのは、
画面の中にいるフィクションの世界の主人公イコだけではない。
イコが正体も事情もわからずただ連れて歩いているだけのヨルダが、
ゲームをしている者にとっても、知らず知らず不可欠な存在になってしまっているのである。。。


欲を言えば、イコのグラフィックにもうちょっと凝って欲しかったなぁ。。。

宮部みゆきの小説、やっぱり読んでみたくなった。


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