TENSEI塵語

2004年07月07日(水) 「ホテリアー」の一場面

「本当の恋は、、恋することだけで十分完成してる」とユンヒが言う。
何かおかしなセリフにも感じられるが、言いたいことはよくわかるし、
私自身、恋に本物も偽物も、成熟も未熟もなかろうと考えている。

このセリフの直前は、ユンヒとテジュンがこんな会話をしている。
ユンヒはラスベガスに留学に行くことになり、その出発の前夜、
ユンヒの念願を叶えて、レストランで食事をする場面である。

「叶う恋と叶わぬ恋の違いは?」
「結婚?」
「結婚は恋の完成かしら?」
「そうかもしれない」
「結婚が完成だとしたら、離婚するのは?」
「間違えた」
しかし、ユンヒは、このテジュンの一般的な意見に対し、
結婚が完成だとしたら間違うわけがない、結婚は恋の完成じゃない、と言い、
「本当の恋は、、恋することだけで十分完成してる。私にはそれができる」
と言うのである。
つまりこれは、ユンヒがテジュンのもとを離れて、
離れながらも、テジュンへの思いをひとりで育てて行くという宣言である。

ユンヒの母は、ユンヒがまだ子どもだったころ、
夫の束縛に耐えきれず、睡眠薬で自殺したのだった。

ユンヒの恋の相手のテジュンは、度重なるユンヒの率直な告白にも、
歳の差、ジニョンへの未練、ユンヒ=キム会長の娘、という理由があって、
ユンヒへの思いが深まりながらも、その気持ちを受け止めようとしない。

言葉は記号ではない。
言葉がどんな過去を背負っているかで、意味も重みも変わる。

全編でもっとも泣かせられるのは、最終回で明かされる、
ドンヒョクがユジンに書き続けてきたメールなのだろうけど、
それをここに再現するのはたいへんな労力である。


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