TENSEI塵語

2004年04月12日(月) まだまだ人質問題

さっき、午後10時20分ごろ、報道ステーションで、
イラクの人質12人が解放されたという速報が入った、が、
その中に日本人が含まれているかはまだわかっていない。

昨夜遅く、24時間以内に自衛隊が撤退しないと人質のひとりを処刑する、
さらに12時間ごとにひとりずつ処刑する、という、
昨日とは掌返したような声明が入っていた。
さらに、副外相がファルージャに来て謝罪するなどの条件が加わった。
けれどもこれは、生インタビューに出演したドレイミなる人物が、
打ち合わせにないことを突然言い出したことらしい。
アルジャジーラとしては、録画だったら真偽を確認するまでカットするが、
生放送だったためにそのまま流れてしまった。
その後、宗教指導者がテレビ出演して、その発言の信憑性はないとした。
約束を守るように呼びかけていたようだ。
それからまた情報のない状態が続いた。
とにかく、何が本当なのかわからないままで、
人質12人が解放されたという速報にも、懐疑的にならざるをえない。

危険だと言ってるのに、行くなんてバカなやつらだ、と批判する人がいるが、
私はまったく逆の意見である。
だいたい、自衛隊を送るからより危険になるので行くな、というのが無茶だ。
人道復興支援など体裁だけで、米占領政策の支持表示だけが目的なのに、
人道支援の人々の邪魔をするとは何ごとだ、と言いたいところである。
撤退させることはテロに屈することになる、などと、
威張ったことをいえるほどのことを、政府は自衛隊にさせてきたのだろうか?
折に触れて書いてきたことだが、行った以上はさっさと支援活動をしてくれ、
でないと、幻滅とともに占領軍の一味としか見てもらえなくなるぞ、
と心配していたら、今回の事件である。
やっぱり、嘘っぱちからはぼろが出やすいものである。

今回、アルジャジーラ放送局の存在を知って思うのだが、
これをもっとしっかり利用すれば、自衛隊を送らなくても
復興支援は別の形でもっと現実的にできたのではないだろうか?
しかし、政府には自衛隊の派遣以外の選択肢はなかった。
派兵して占領政策の仲間入りすることが第一であって、
人道支援などは、そのための方便に過ぎなかったからである。
「テロに屈してはならない」という言葉はいかにもかっこよくて、
それに魅せられている国民も多いようだが、私には虚勢にしか聞こえない。

占領活動を重視する人たちは彼女らをバカだと罵るだろう。
支援と平和的解決を願う者は、彼女らを勇気ある人として讃える。
何とかしたいと思っても、今の生活を捨てて自ら行く勇気がない者だったら
なおさらそう思う。
そして、そういう人を絶対犠牲者にしてはいけないと思って見つめている。

それにしても、米兵の死者も今までなかったほど増えている中で、
アメリカの世論に関する報道がぜんぜんないのも不思議である。


 < 過去  INDEX  未来 >


TENSEI [MAIL]