TENSEI塵語

2004年04月07日(水) きのうの続き

1年生の総合学習が進路関係ばかりで閉口したことは先日書いた。
今度の2年生も初実践である。
教務主任がとりあえず作っていた計画では、
1学期:本校について調べよう。
2学期:地域のことを調べよう。
3学期:(忘れた)
というテーマでグループ研究と発表ということになっている。
もちろん、その合間合間に進路関係のイヴェントも入れられてはいるが、
大きな流れとしてのプランは、グループによる調べ学習ということらしい。

そう聞いただけで逃げ出したくなった。
グループ学習というのは、同じ問題意識の者が集まってやる特別活動なら
うまく機能するだろうが、大人数を均等割りして画一的に行えば
たいてい破綻するものである。
小・中学校などでとりあえず格好がついたりするのは、
意欲ない生徒をとりあえず放っとくか付いてまわりにしておいて、
意識の高い生徒が何とかまとめ上げたりするからである。
いろんな生徒がいるからこそ体裁を整えることのできる活動であって、
愛知県の高校は輪切り入試制度だから、体裁繕うことさえ至難の学校が多い。
本校のような学校では、まず個人レベルで、
得た知識・情報をもとに意見をまとめる段階に苦しむのである。
そんな気もまったくないはずだから、グループ学習なんてやらせたら、
結局のところ雑談に終始してしまうのは目に見えている。
もしグループ活動をさせたければ、単純実労働的作業にするべきであろう。

それに、この学校や、けちくさい地域のことを調べて何になろうか、、?
そんなことは小・中学校でも多く経験してきているではないか。
もっと広い社会に目を向けさせたいではないか。
そう考えて、昨年末と3月のこの検討会議では、
中東問題について、それに精通した学者の講演から始めて、
テーマ別研究、そして、文化祭での発表という提案をしてみたのだが、
方法について今ひとつ具体的にしきれなくて、うやむやになった。
またそれは、文化祭前の総合学習の時間が意外と少なかったせいでもある。

けれども、何とかして、本校や地域についてのグループ研究というのは
阻止したかった、そして、それは私だけの思いでもなさそうだった。
かといって、基礎学力増強のための特別学習時間にするとか、
単純に読書させる時間にするとか、そういう案が通りそうな雰囲気ではない。

そこで、小論文指導を入れましょう、と提案したのだった。
1年生からの進路学習の一環としての大義名分にもなるが、
もちろん私自身はそんなことに重きを置いていない。
どうせなら、社会に目を開く機会にしましょうというのが第一である。
そしてまた、小論文指導というか、「書く」ことの指導はどこかで
やらなきゃいけないが、国語科だけに任されてもやりきれないからである。

そんなわけで、昨日までに作った具体案はこんなものである。
テーマをたとえば「環境問題」とした場合に、
最近はそういうテーマ別にネタをまとめてくれている本があるので、
枚数は多くなるけれども、資料として配付する(資料選択が肝心だ)。
各自、そこから得たことや考えたことをメモして、
最後に600字か800字以内で小論文をまとめる。
書き方のコツは、現代文の授業で説明したり、演習したりする。
添削は、担任と副担任で分担する(最ももめそうなの難題がここだ)。
1テーマに3回、つまり3週を費やす。
情報の授業と連動して、自分の問題意識で調べる機会がもてると一層よい。
年間に3、4回できるとよい。

これとても、かなり勇気のいるプランである。
けれども、一口に「○○問題」といっても、いろいろな要素があり、
いろいろな見方や意見があるんだなぁ、と思う生徒が増えてほしい。
社会に対する視野を広げてほしい。
グループ学習という、実質的には邪魔し合う環境よりは、
まず、それぞれの生徒が、多かれ少なかれ、問題と関わってほしい。
担任・副担任による添削というのにはかなりの抵抗が予想されるが、
こういう形でないとなかなか小論文指導は回っていかない。

そして、もうひとつ私が密かにもくろんでいるのは、
こうして、生徒の読んだり書いたりする力を、多くの先生に見てもらって、
もっと本を読める生徒にしなきゃいかんという声を高めることである。


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