「映像の世紀」第5集は、「世界は地獄を見た」と題して、 第二次大戦の全容を時間的にも地理的にも駆け足で記録したものである。 たったの70分間の間に、数年間の世界大戦をたどるのだからたいへんだ。 けれども見ているうちに、今まで感じたことがなかったほどの 深い哀しみに支配される。 今まで、戦場で戦わざるをえなかった人々の思いも見聞きしたし、 収容所で恐怖や飢餓に苦しんだ人々の思いも見聞きしたし、 空襲や原爆の中で逃げまどい、その後悲惨な運命をたどった話も見聞きした。 それらはみな、いろんな機会に、部分的に入ってきた情報である。 それらだけでも、二度と戦争を起こしてはいけないという思いを 起こさせるには十分なはずだった。
今夜の番組は、見ながら、いったい何をしているのだ、と哀しませるのだ。 (もちろんこの悲哀には要所要所で流れるテーマ音楽が効果的に絡んでいる) ヒトラーのドイツがポーランドに空襲を加えるところから戦争が始まった。 兵士と兵士、軍隊と軍隊の戦いでなく、 武器を持たない一般市民を無差別大量虐殺することによる戦争が始まった。 ドイツも日本も、そうすることによって快進撃を続けた。 大量に下ってきた捕虜も虐待した。 ドイツはさらに、戦闘とは関わりないユダヤ人も大量虐待した。 アメリカでは、日本の真珠湾攻撃を気に、日系人が収容所に入れられた。 市街戦も行われ、武器を持たない市民が大量に死ぬはめになる。 やがて戦況が逆転すると、日本でもドイツでも、 一般市民が空襲等により無差別大量虐殺されることになる。 何をしたためでもない、ただそこにいたから死ぬ運命に遭ったのだ。 そこに生まれ、そこに住んでいたというだけで死なざるをえなかったという 大量の市民があちこちにいたということである。 番組のナレーターは最後にこう語った。 「第二次世界大戦の死者は、6500万人と推定されています。 そのうち4000万人が、武器を持たない一般市民と推定されています」
番組の途中から、得意そうなヒトラーの顔を見るたびに、 首を絞めてやりたくなったものである。
頼むから、喧嘩は、したいやつらだけで、人の迷惑にならないようにやってくれぃ。何が「お国のため」だぃ。
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