娘が小学校3、4年だったころに、楽器習うなら何にしたい?から始まり、 ヴァイオリンを希望したので、近所の先生のところに習いに行かせた。 ピアノだと先生が母になるので、それをいやがったのかもしれない。 歩いて、子どもの足でも7、8分というところに先生の家があったので、 土曜日に帰ってから、ちょっと練習をして自分で通っていた。
毎日5分ずつでもいいから練習してほしい、 週1回1時間練習するよりも、少しずつでも毎日弾いた方がよいと、 最初のころはいろんな手を使って練習させていたものだが、 あまりにも強要しすぎて嫌いになられるよりは、 なーんとなくでも続けてもらいたい気持ちの方が強くて、 その兼ね合いがなかなか難しく、練習はやがて週2、3回になり、 週1回、レッスンの直前に30分程度弾いてから出かけるパターンになった。 親としては、先生に申し訳ない気持ちでいっぱいであった。 練習せずにレッスンを受ける生徒を前にする気持ちは、私自身が知っている。 何しに来たー! 帰れーー! と怒鳴りたくなる気分である。 あるいは、聞きながらアホらしくて睡魔に襲われてしまうものである。
親としては、別にそれで食べていってほしいという気持ちがあるわけでない。 将来、弾きたいな、と思ったときにいつでも弾けるだけの技術を 身につけてもらいさえすればよかったのである。 私自身が、中一の時に、オーケストラの音楽に一挙に惹かれ始めたとき、 ヴァイオリンを弾きたくてうずうずしても、どうしようもなかった。 それで、すぐにでも弾ける代わりに表現力も音量も音域も乏しい リコーダーでかろうじて欲求を凌いでいたことを思うと、 子どもがちょっとでもやりたいと言った楽器はやらせてやりたかったのである。 将来、どんなことがあるかわからない、 すべてのことをやって備えるというわけにはいかないけれど、 何かひとつでも楽器を子どもの時にやっておくとどんなにいいことか、と、 このことは、自分自身で痛いほど感じていたので。。。
ヴァイオリンというのは、習わせるには厄介な楽器で、 成長に従って、より大きな楽器に買い換えて行かなきゃならない。 最初は1/2、それから3/4、そして、中二のころに大人の同じ大きさになる。 その時に、中古で30万円台の楽器を買った。 弾いてみたら音の抜けが実によかったので、それにしたのである。 将来、よほどのことがない限り、買い換える必要はないだろう、と。。。 ところが、レッスンは中三の時に、先生の都合で終わってしまった。 わざわざ遠くの先生を探してまでレッスンを求める気持ちは、 親にも娘自身にもなかった。 そうして、趣味で弾いて遊ぶこともなく、楽器は3年以上眠っていた。 高校では、吹奏楽もなかったので、聖歌隊に入っていた。 とりあえず、音楽がきらいではないらしかった。
娘が大学に入ると、さまざまなサークルの中に、 オーケストラはなかったけれど、弦楽アンサンブルのサークルがあった。 親は、そこに入れ、と言わず、何でもいいからまとまった活動のできる ところに入るように、と薦めて、親の希望は弦楽アンサンブル、とだけ 言っておいた。 それから、運動部も含めていろいろ見学して、結局、 幻想文学研究会なる、怪しげで得体の知れないサークルと、 弦楽アンサンブルに入部したようである。 どちらも拘束時間がわずかなので、兼部しても十分やれるようである。
きょう帰宅したら、娘の部屋から練習する音が聞こえるので仰天した。 夕食前にヴァイオリンを弾いているなんて、 レッスンに通っていたころでもまったくなかったことである。 親の耳で聞いていても、一度もまともな演奏を聞いたことがないのだが、 新入部員の中でもっとも弾ける、と言われたことが、 かなり本人の気をよくしているのかもしれない。 8人ほど入ったうち、ほとんど初心者で、経験者は3人ほどだという。 そういう環境だったおかげで、今後の展開を興味深くしてくれている。
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