西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2003年01月28日(火) |
クローゼットの中にいても外にいても、私は私、君は君。『セルロイドクローゼット』 |
たとえば『ベン・ハー』、 たとえば『紳士は金髪がお好き』・・・。 ハリウッドの歴史に残る数々のメジャームービーの中に、 ひっそりと刻まれてきたレズビアン&ゲイたちの足跡。 それらを一つ一つ、ひもといていったのがこのフィルム。
わたしは、人に「この映画をみて」と言うことは少ないのだけれど、 『セルロイドクローゼット』だけは、勧めてしまうかも。 機会があったら、ぜひみて下さい、と。
わたしが、稚拙な表現でこの映画について書くよりも、 当HPのお客様であるロージーさんが、 「そうなのよね」と、思わず頷きたくなるような、 感想をメールで送ってくださったので、 了解をいただき、以下(緑色箇所)に転載させていただきます。
異性愛者が、ごく当たり前だと思って手に入れているもの。 それは、ほんのささいな幸せだったり、取るに足りないものだったり。 でもそれらと同じものを、同性愛者は、 葛藤やとまどい、躊躇を乗り越えて、闘って手に入れようとしている。 それらのことが、とても伝わってくる作品でした。 でも、決して、説教臭くなったりしないのは不思議です。 「世間というものは、そういうもの」という、 いい意味でのあきらめがあったり、 (腹をくくっているとでもいうんでしょうか?)、 感情のベースになっているのが、「泣き笑い」なんじゃないだろうか、 と思えるような、ユーモアを感じたり・・・。
「私たちはこんな風に闘ってきた。きっと、これからもそれは続いてく。 でも、生きているかぎり、闘うのはみんな同じ。 だから、まあ、お互いがんばりましょう」 そんな風に言われている感じで、 声高に主張されるより、一層胸にせまってきました。
そんなことを感じながら見ていると、まさにこの作品の締めくくりのように、 ブセミのいいシーンが! 感動!!でした。
ゲイについて、愛について、だけでなく、 映画について、表現について、など、色々なことを訴えかけてくる、 見ごたえのある作品だと思います。
うん。まさに。 ロージーさん、どうもありがとうございました。
そして今。 いわゆるメジャー映画だけでなく、無数の独立低予算映画もつくられ、 「ニュー・クィア・フィルム」というジャンルも存在する時代。 『セルロイド・クローゼット』の頃とは、 「同性愛」を取り巻く環境、 「同性愛」を表現する者たちの直面している問題も変化していますが、 この作品の中にこめられたメッセージは普遍のもの。
「映画が好き」で「映画についてもっと深く知りたい」と 思っている方なら、見て損はないと思います。
そうそう。 蛇足ですが、Steve Buscemiが、自身の監督作品として 現在企画しているのが、そのものずばりのタイトル 『Queer』(バロウズ原作)なんだとか。 彼の作家としての目線、やっぱり共感するなぁ。
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