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天竜



 アフガン零年

映画「アフガン零年」を観ました。この作品は私が書いたアフガン小説とちょうど同じくタリバンが国を制圧していた時期を舞台にした作品で、監督もアフガン人、俳優は監督がアフガンでスカウトした一般市民ということで、映像がすごくリアルでしたね。本で得た知識だけでは解かりえないような部分もたくさんあって、当時の市民がタリバンにどれほどの恐怖心を抱いていたのかとか、手酷い女性差別の現状とか、そのなかでデモ行進する女性たちの強さとか、あらためて知ることができました。
映画としても完成度は高かったと思います。主役の女の子は監督が配役を決めるためにアフガン国内の施設や学校を見て回っていたときに、物乞いをしてきたストリートチルドレンだったそうなのですが、演技するのは初めてとは思えないくらいの好演でした。実際、9.11以前のアフガンを生き抜いてきた彼女にとって、例え映画といえども、実体験の再現でしかなかったのかもしれません。映画撮影時にもよく当時のことを思い出して泣いていたと監督も仰ってましたからね。

DVDの監督インタビューの中にもありますが、同時多発テロ以降再び世界から忘却の国になりつつあるアフガニスタンが歩んできた歴史的悲劇は(タリバン支配だけでなくそれ以前の大国によるパワーゲームや、いまだテロが続き、民主化が行き詰まる現在など)こうして映像にすること、何かに残すことで、今後の戒めにしていくべきなのでしょうね。
皆さんも機会があればぜひ。

2005年03月15日(火)
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