たりたの日記
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2008年03月27日(木) 7つの愛のソネット 

日記の中を検索しながら探し物をしていたら、
2003年の2月10日から15日まで毎日綴っていった、7つの愛のソネットがでてきた。

それぞれの愛のカタチをシェークスピアのソネット(14行詩)を真似て
書いてみたのだった。

しばらく、その時に立ち返ってみた。
そこにある文章も、その後に綴られた詩も、けっして過去のわたしというわけではなかった。
その時のわたしは変らずにわたしの中に生きている。
明日のステージのためにも、わたしの内なるエナジーを総動員したいところだったので、
良い再会だった。

詩の部分だけ載せておくとしよう。




< 愛のソネット 1>
 
      魂から魂へ

わたしがわたしの言葉を愛するように
わたしはあなたの言葉を愛する
わたしがわたしの時を愛するように
わたしはあなたの時を愛する

お互いを見つめ合うのではなく
遠いかなたに目を注いで
あなたとわたし、異なる空間で呼吸し
それでも共に生きている

あなたがあなたの音を愛するように
あなたはわたしの音を愛する
あなたがあなたの場所を愛するように
あなたはわたしの場所を愛する

   ある時、それは身を切るような痛みを伴うとしても
   強靭に愛し続けていくことをわたしたちの魂は知っている





< 愛のソネット2 >


       Anniversary


愛を探した日々があった
進むほどに道は狭く、迷路に閉じ込められるのはわたし
愛を捕えようとした時があった
手にしたものは抜け落ち、独りでたたずむのはわたし

ある日、ひだまりの中に愛は座っていた
「少しだけそのひざを借りてもいいかしら」
初めて眠りを知った者のようにわたしは眠った
探さなくても愛は変わりなくそこに居続けた

ある日、わたしの体の中で愛は動いた
「もう何も欲しいものはないわ」
生き始めたばかりの命にわたしはわたしを捧げた
捕えようとしなくても愛はいつも腕の中にあった

  一人が二人になり、三人は四人となって命は育まれていった
  この豊かな実りに感謝を捧げよう Anniversaryの今日




< 愛のソネット3 >


   とらわれ


愛はときおりデュオニソスを伴ってやってくる
その香りは甘くあらがうことはできないゆえ
見えない力にただ引き込まれてゆく
足は地上を離れ心は果てもしらぬ空をうつろう他ない

愛は人を命からひきはがし洞窟の中に閉じ込める
歓びと苦痛はくりかえし訪れ
目は何も見ず、耳は何も聞かない
そして死は喉元に鋭いナイフを突きつける

どうかここからわたしを出してください
この死の淵から生還させてください
この試みに会わねばならない理由は何ですか
人は思わず彼方へ向かって叫ぶ

  彼方へ向かった声を聞くものがそこにいる
  人はその叫びの故に死から命へとまた移される



< 愛のソネット4>


         その愛


はじまりは言葉だった
男は女の綴った言葉の海へ恋に落ち、女へ言葉を届けた
女は言葉を受け取る、そこにある優しさも情熱も
日に何度も届く手紙、二人の間に降り積もりゆく言葉

5年が過ぎた時、これから人生を始めようとする若者は
これから人生を閉じようとする老女のもとへと向かった
言葉ではなく手で愛撫し
言葉ではなく目で見つめる

男と女は愛し合い、また傷つけあう
歓びと苦渋、高揚と絶望、愛とはそういうもの
女の口は物語を再び語り
男はその声を指先で打ち込み文字へと変えた

   その愛の話を人々は読み継いでゆくことだろう
   その愛の形をわたしも今日、深く心に刻もう



         * 映画「「デュラス 愛の最終章 」を観て


< 愛のソネット5>

      チョコレート応援歌


バレンタインデーにチョコレートをあげるのだったら
手作りにしましょうよ
上質のチョコレートを使うのよ
なめらかでけっして甘すぎないものを

チョコレートはあなたの心の熱さで溶かす
想いをそこに混ぜながら
溶けて流れ出す前に考えておくことを忘れずに
作りたい愛のかたち

ラッピングはあなたを表す色と形で
カードにはあなたの心から取り出した言葉を添えてね
渡す時にはきりりとした目を向けて
アイ ラブ ユー と テレパシーで伝える

  それで「ホワイトデーには君が作ったクッキーがいいわ」と言ってみる
  男の子にもレッスンのチャンスをあげなくちゃ





< 愛のソネット6>



       愛を歌うあなた 


ビョーク、あなたはわたしを知らないにしても
あなたはすでにわたしの中に棲みついている
それは音、それは言葉、それは息づかい
あなたがどれほどこの世界を愛しているか、それが見える

アイスランドという土地を訪ねたことはないにしても
その土地の空気はすでにわたしのなつかしいもの
それは岩、それは氷、それは草原
どんな命とも、どんな自然とも結びつくあなたの不思議

あなたの歌はすべての命へ向かう愛
だからとても近い、命のみなもとと
愛とはもともとの自分に帰ること
自分の心の声に聴き従うこと

   創り出す行為とはこうしたこと
   ひとりのあなたという存在が広がり続けていくということ




< 愛のソネット7 >


         時空を超えて 

    2000年を遡り
    あなたの時をわたしは生き
    2000年を超え
    わたしの時にあなたは生きる

    はてしない命のひろがり
    わたしの外へ また内へ
    今をつきぬけて
    つらなる 永遠へ

    あなたという愛のみなもとに
    あなたという命のみなもとに
    抱かれるという 至福
    生きてゆける

       繰り返し問いつづけるあなたの眼差しに
       挑むように返すわたしの愛












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