たりたの日記
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2007年09月24日(月) |
草千里さらに遠く烏帽子岳 |
2年前の夏、一人で阿蘇の高岳に登り、翌日は母とタクシーで草千里から大観峰を回った。その時の草千里を眺めながら、今にも車から降りて、そこから向こうの杵島山や烏帽子岳に駆け上がりたい気持ちだった。 阿蘇の持つ風景の独特さ、美しさに愕然とした。愕然としたというのは、わたしのふるさとからこれほど近いところにこの風景を持ちながら、これまでその事を知らなかったという事にだった。いえ、知識としては知っていたはず。小学生の時、修学旅行か何かで訪れもしている。それなのに、その山には出合ってなかった。
あの時眺めた草千里や阿蘇の山々はこの2年間、ずっと疼きにも近い気持ちで心の中にあった。母に喜寿の祝いをどこでするかと持ちかけた時、母がくじゅうか阿蘇を候補に挙げたのはそんなわたしの気持ちを見透かしての事だったのだろうか。連休中でどこの宿も満員でなかなか取れなかったところ、母が見つけた「かんぽの宿阿蘇」は宮地駅のすぐ側、阿蘇の山々が真近に眺められる所だった。
かんぽの宿でも一つ部屋に布団が四枚敷かれた部屋で、夜中の3時過ぎまで話し込んだ。翌日、金沢に住む上の弟は今日の家に戻らなければならないので朝のうちに宮地駅から発った。母は昼頃の電車で戻るというので、三人で草千里まで行き、わたしはそこから杵島山に登り、母は電車の時間まで弟が中岳の火口まで車で連れて行くことになった。
火山博物館のところから眺める草千里の風景はほんとうに美しかった。広々と広がる草地の奥に静かに水を湛える沼が光り、そのむこうに美しい稜線を見せて烏帽子岳が控えている。この風景の中にずんずん入って行きたくなった。まずはこの目の前に座している、烏帽子岳に近づき、登ってみようと決めた。
観光客の喧騒から離れて一人草原の中を山に近づいて行く。遠く離れていた烏帽子岳がずんずん近くなっていく。いつの間にか山の懐に入っていた。けれども高い木々もなく、登りつつ振り返れば草千里や向こうの建物、人々の姿も見える。何とも解放的な山なのだった。1時間もかからず山頂に辿りついてしまった。ちょうど山頂で写真を撮っていた時に下から5、6人ほどの若者達のグループが登ってきた。これからハングライダーをしに行くのだと、すぐに駆け下りていったが、お互いに山頂での写真を撮り合う事ができた。
下山し草千里で寝っころがって空を見ていたら、曇り空からぽつぽつ雨が降って来た。予定のバスの時間までに杵島山も往復するつもりでいたが、さっきまで美しい姿を見せていた杵島山に雲がかかっている。雨具も持ってきてはいないので、ここは早いバスで阿蘇駅まで戻っておいた方が良さそうだ。折りよく1時35分発のバスがやってきたので飛び乗る。 阿蘇発熊本行きの電車は2時47分。2年前に来た時には見当たらなかったが、何と駅の正面に温泉の看板が見える。駅員さんに聞けば30秒のところだというので、それなら電車の時間までに一汗流せる。これはめっけもの。夢の湯というその日帰り温泉は落ち着いた作りのとても寛げる温泉だった。
少しあわただしくはあったが、登山の後の温泉ほど有り難いものはない。すっかりさっぱりとなって熊本行きの電車に乗り込んだ。
<左の写真は山頂から煙を吐く中岳を写したもの。この頃弟と母はこの山の火口近くにいたことになる。>
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