たりたの日記
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2007年03月08日(木) |
東北旅日記2 < 3月3日 仙台と盛岡の夜> |
蔵王温泉から17時40分のバスで山形駅まで行ったが、バスが予定の時間より早く着いたので、一本前の仙山線に間に合った。 山形で1時間、仙台で1時間の待ち時間の予定が仙台で2時間となれば、盛岡行き20時38分の「新幹線はやて」に乗るまでの間、仙台駅周辺を歩くことだってできる。 それでは今日の夕食は何か仙台の名物にしようと電車の中で地図とガイドブックを眺める。どうやら仙台は牛タンが名物らしい。仙台駅の近くの洋風居酒屋の店構えの牛タン焼きのお店にはいる。 カウンターの席の目の前で焼いている牛たんのいい匂いがしてきて気持ちもほぐれる。朝も昼も食事らしい食事をしていないのだからここできちんと食べておこう。まず生ビールとつき出しに牛タンのトロの握りを注文し、牛タン焼き定食は麦飯だったので、とろろ汁を追加する。牛タンはおいしくて、とろろ麦飯でようやくお腹が満たされた。
盛岡の駅に着いたのは21時37分。駅前のホテルだというのに、そこへ向かう道がうまく見つけられず、うろうろしていたから盛岡シティーホテルに着いたのは10時になっていた。 フロントでチェックインをすると、受付の人がわたしに荷物が届いているという。それは明日お会いすることになっているTさんからのもので、桜色の美しい風呂敷の包みを開くと、お手紙と盛岡に関する本やパンフレット、それに赤い箱のガーナミルクチョコレートが添えられていた。 「では、朝の八時に。」と結ばれているその手紙を読み終え、胸が詰まった。なんと暖かな心づかいなのだろう。わたしは今までこういう配慮を人にした事があっただろうか。 その夜は枕元にいただいた二冊の本を置き、眠りが訪れるまで読んでいた。 そのうちの一冊立原道造の「盛岡ノート」にこんな文章があって、これはまさに今のわたしに気持ちだと思った。
僕は見た この町にも 僕を待っていた人がいることを こんなに とおい北の町に 僕を 待っていた人がいることは どんなにかうれしいことだろう その人の庭で その人と その人のかわいらしい妻らしい人と 葡萄を もいで食べる 青い葡萄だ その人たちは 僕のまだこないうちから 洋梨をたくさん持ってきてくれたり 自分の本を この部屋に届けておいてくれたりして もう 僕の来るのを待っていた 僕がそんな資格があるのだろうか だが 僕は いまは ためらわずに すなおに すべての好意を うけたらいい と おもう 僕にはそれよりほかに 何できないのだ 北の国で 僕はもっと孤独にと かんがえた しかし ぼくは 孤独になるまえに 僕にそそいでいるこんな好意にめぐりあった 僕の心は 孤独のなかに住むことを自ら拒むだろう
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