たりたの日記
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2007年02月24日(土) ステージの匂い














           



        ステージの匂い 

ステージには匂いがある。
日常にはない匂いだというのに、それが不思議に懐かしいのは
本番前のステージの気分がとりわけ強く
記憶に刻印されているからなのだろう。

空っぽの客席の上には、けれど
今にそこを充たす熱気の兆しが漂っていて
その照り返しを受けて心の振幅は大きくなる。
時間の先っぽに、つま先立ちで立っている。

開演のベル、に始まる太鼓の轟き。
紫色の衣が客席を駆け抜け舞台に上がる。
その中を走り、その風に心を奪われ、
瞬間、踊ることを忘れてしまった。

踊る時には足の裏にエネルギーを通し
波に飲み込まれないように。
けれど綱をしっかり握っていたつもりなのに
時に波に乗り遅れ、動きはバランスを欠いた。

ステージで繰り広げられる様々な踊り。
わたしの出番は10回。
舞台に走り出て、走り去り
衣裳を取り替え、再び袖へ。

踊りも歌も、ギターの音もバンドの演奏も
その時、はっきりと空気を変え、
客席とステージとは交歓し
熱は混ざり、溶けてゆくものを見た。

2時間のパフォーマンスは凄い速さで駆け抜け、
音が止み、再び空っぽの客席。
スーツケースに衣裳を詰め込みながらそちらを見れば、
そこには熱気の名残が漂っていた。





















< M's Party 春色和舞 2007年2月24日 埼玉芸術会館 小ホール>
写真撮影 mG


たりたくみ |MAILHomePage

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