たりたの日記
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2005年01月15日(土) 「相対死の詩法」が手に入る

探していた本が届いた。暮れの12月27日の日記に書いた角田清文著「相対死の詩法」だ。この本は前回のゼミの時に正津氏からお借りしていたもので、貴重な本であることは承知しているので、早々にお返ししなくてはならないのだが、手元からなくなることがなんともさびしく心もとなく思っていた。

1983年に出版されているこの本はどこの本屋を通じても手に入る見込みはない。そもそもごく限られた部数しか出版されていない本なのだろう。こうなれば、ご遺族を突き止めて、家に残っている在庫の本を分けていただくしかないなどと考えていた。(果たしてそういうことが可能かどうかは別として)

しかしインターネットとはありがたいものだ。また古本のリストをネット上に上げてくれているこうした古本屋もありがたい。富士書房という古書店にこの本が一冊だけあることが分かった。急ぎ問い合わせをするとメールを送ってくれ、翌日には代金引換で発送してくれた。それを今日、めでたく手にしたというわけだ。

本は大変に良いコンディションで、ケースも、また本を包む薄いパラフィン紙までついている。また驚いたことには扉の内側に「謹呈 三好豊一郎様」と本人のサイン入りの短冊まで入っていた。三好豊一郎とはどういう人なのだろうと検索で調べると黒田三郎とも交流の深かった詩人ということが分かった。また何篇かの詩をネット上で読むこともできたが、角田氏との繋がりをそこに感じ取ることができた。

おもしろいことには、そこからいろんな人やサイトが繋がっており、舞踏家土方巽また版画家長島充のサイトを興味深く見たことだった。家から一歩も出ることなしに、わたしの世界が広がってゆく不思議を思った。

三好豊一郎はすでに故人になっている。三好氏の手元にあった本が巡り巡ってわたしの手元に届いたことになる。三好氏から譲り受けた本のような気がして感慨深い。さて今から晴れてわたしのものになったこの本のページを繰るとしよう。


たりたくみ |MAILHomePage

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