たりたの日記
DiaryINDEXpastwill


2004年04月27日(火) ブラウニングの詩 「春の朝(あした)」

今朝は風が強い。
まだ眠りの中にある時から、庭に木に吊るしたウインドチャイムの音が、
耳に入って来ていた。
この密やかな風が作り出す音が好きだ。
意識がはっきりするに連れて、その音がはっきり聞こえてくる…

ベッドから降りて階下へ行きPCを開く。
「創作のノート」というタイトルのファイルを作った。
ストーリーでもエッセイでもなく、
今の気分をとどめるメモのようなものを書き留めておこうと。
一日に一時間の創作の為の時間用に。




ロバート・ブラウニングの 「春の朝(あした)」の詩が
浮かんできた。


  春の朝     ロバート・ブラウニング・上田 敏訳

時は春、
日は朝(あした)、
朝(あした)は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。

確か「赤毛のアン」のどこかにこの詩が引用されていたはず。
本を取り出してみると、本の最後の部分だ。
アンにこの詩を小さな声で呟かせてこの本を終わりにしているモンゴメリ、
改めて、さすがだなと思う。

“God’s in his heaven, all’s right with the world,” wispered Anne,softly.


気になったので、原詩も調べてみた。


The Year's at the Spring
     
        Robert Browning


The year's at the spring,
And day's at the morn;
Morning's at seven;
The hill-side's dew-pearled;
The lark's on the wing;
The snail's on the thorn;
God's in his Heaven—
All's right with the world!


上田 敏訳 の訳でこの詩を知ったけれど、
そしてみごとに美しい日本語の詩として生まれ変わってはいるけれど、
オリジナルを読んでみると、やはり、詩の気分は違う。

ブラウニングの言葉はとてもシンプルだ。
何の変哲もない、春の朝の七時。
彼はきっと家から出て、そこいらを少し歩いたのだろう。
丘の緑色の草の上に露が光っていて、
空の高いところで、雲雀が羽をはためかせている。
そして足元には蝸牛がつのを出している。
その時、彼はふつふつと沸き起こってくる、
強い幸福感に満たされたのだ。
わたし的には「お腹の中から笑えてくる瞬間」
中学生の時に、このタイトルの詩を書いた。まさにこの、ブラウニングの
気分だったのだ。
もちろん、この気分は言葉としてはブラウニングの詩の中に書かれていない。
その気分が最後の2行から伝わってくる。
アンが本の最後で呟いた、その2行。

この2行の気分を伝えるストーリーを書くことができるだろうか。













たりたくみ |MAILHomePage

My追加