たりたの日記
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2002年09月01日(日) |
安らはで寝なましものを |
今日(今日は実際9月4日なのだが)友人のJから電話をもらう。
「元気なの?」
どうやら私の安否を気遣って電話してくれたらしい。 そうか、日記もしばらく書いていないし、何かあったのかと心配してくれたんだと在り難く思う。
「9月1日の日記、良かったのに、翌日見たら消えてたね。どうして消したの?」
あの詩もどきは確か8月31日の夜、いつまでもPCと対面しながら深夜の3時くらいまで、眠らない夜を過ごしていた時に書いたのだった。 百人一首の赤染衛門の歌をふと思いだして、そのフレーズを自分のフレーズの中に、ちりばめてみた。
「なぜって、翌朝読んでみると、なんだかめめしくてね。そんな自分がいやで即、消してしまった。もう跡形もないわ。どんなこと書いたか思い出せないくらい。」
今となれば、その夜のめめしい気分も、翌朝のそんな自分にあきれる気分も正確には思い出せない。人間なんていい加減なものだ、その時、どんなに強い思いがあったとしても、やがては色あせる。
百人一首の作者たちとて、その時の気分にまかせて歌っためめしい恋歌が、これほどまで後世の人間に、しかも暗唱までされるとは思っていなかったにちがいない。
同じ言葉が紡げるはずもないが9月1日の深夜の気分を取り出してみようという気になった。
安らはで寝なましものを
眠れないでいるうちに 季節は夏から秋へと歩みを進めた ひたひたと哀しいので 夜の闇の中で息を詰める 小夜更けて・・・
いったい何を待っているのか 待つものさえ持ってはいない 心はろうそくの炎にも似て ゆれゆれながら かたぶくまでの月を見しかな・・・
待っているとすれば 月からの電話 かかってくる当てのない 今夜の月はとりわけ遠い 安らはで寝なましものを・・・
安らはで寝なましものを小夜更けて かたぶくまでの月を見しかな (赤染衛門)
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