たりたの日記
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今朝のこと、夫が家を出て数分後に電話が鳴った。こういう場合はたいてい夫が私に言い忘れたことを思いついて、携帯からかけてくる電話と相場が決まっている。果たして本人だった。
「ぼくがね、がんばって働いてくるんだから、、、、」
おっとぅ、何かしらの警告だ、とちょっとばかし緊張が走る。 昨日は一日中ジムで過ごしたし、今朝は彼のお気に入りのボタンダウンのオックスフォードシャツはアイロンが間に合わなくて、ちょっと派手目のブルーのピンポイントシャツを着させることになってしまったし、いろいろと落ち度だらけの主婦とすれば、忠告に対しては従順である。 受話器片手に神妙な面持ちで次に来る言葉を待っていると 「日記書いてよね」と続いた。 思わず、きょとんとし、「うん、書くよ」と受話器を置いたものの、なんだかきつねにつままれたような気分で、思わず「ふうん」とうなってしまった。
彼がフツーの亭主じゃないことは先刻承知だが、それにしてもこの人変ってると感心してしまった。知ってるつもりでまだわたしは彼のことが分ってしまってはいないのだろう、今朝のようなことが今もってちょくちょくあるのである。 ところでこの変っているという言葉は私にとっては褒め言葉である。彼が相当変っていたから結婚したんだろうし、だいたい変ってもいない人間と日々顔つき合わせて20年も過ごすなどという退屈なことはとても私にできそうもない。 それにしてもアイロンかけでも、掃除でもなく、夫が妻にやってほしいことがお金にも何にもならない文章を書くこととは・・・
今日はどこにも行かなかったものの、生協の注文書きや雑用で、てきぱきと家事をこなすという具合にはいかなかった。その上、2回分の洗濯物は朝早く干したものの久し振りの友人からの電話で話し込んでいる間にすっかり雨にぬれてしまい、やり直し。それなのにもう夕方になっている。これからアイロンかけやら食事の支度やら押せ押せの時間である。けれどそんなこともほっぽらかしてまず書かなくてはとパソコンを開ける。がんばってお仕事している夫からたってのご要望なのだから。今日の分からさかのぼって日記の穴埋め作業をすることにしよう。
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