たりたの日記
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飛行機で移動するとあっという間に移動が可能になる。 朝9時過ぎに家を出て、午後2時にはもう宮崎に着く。意識の中では遠いはずの場所へいつの間にか置かれているといった感覚になる。ぼんやりと音楽を聴いている間に、移動していることも忘れているうちに体だけ別の空間へ着いてしまった。空港から宮崎駅までの電車の中で私は急いでスイッチの切り替えをしようとする。私のここでの役割は夫の配偶者、嫁である。おおよそ嫁らしくない嫁なのだろうとは思うのだが、核家族の中で育った私はテレビや小説の中でしか嫁というものを知らない。 駅には病気治療中の身である義父が自ら車を運転し、義母といっしょに迎えに来てくれていた。こんなに元気そうな義父を見るのは久し振りだ。
「おとうさんが、今日はてんぷらを食べたいというの。」 「じゃあ、私 作ります。」 義父に駐車場で待っていてもらい、義母といっしょにてんぷらにする食材を買う。
役に立つことがあってよかったと思いながら、3人では食べきれないほどのてんぷらを揚げる。いも、ごぼうとにんじん、しいたけ、いんげん、青シソ、そして鶏肉。そういえばしばらく、てんんぷらを揚げていない。帰ったら夫と子どもたちにも山のようなてんぷらを揚げてあつあつのところを食べさせたいと思った。
てんぷらを揚げたのは3月1日のことだった。2日は義父の病院での検査に同行したのだった。義父は昨年の7月の手術の後、2週間ごとに検査に通う。医者はこの8ヶ月間、血液検査をし、結果を見て良いですねというだけで、後はただ同じ薬をくれるだけだという。私の目には義父はどう見ても良くなっているように見える。薬は強い痛み止めかなにかなのであろうが、私自身こういった医者の姿勢にかなり疑いを持っている。嫁の分際だが、いっしょに診察室に入って、医者に検査の必要はないのかと問うた。この次の検査の時、CTスキャンを取ってくれることになった。来た甲斐があったと思う。 薬局からもらった処方箋を見ると一つは強い鎮痛薬とあり、後の2つはどうやら抗癌剤のようだ。義父は退院して数週間は激しい痛みがあったが、ノニジュースを飲み始めてからは痛みが治まり、それ以来ずっと痛みがないと言っている。痛みがないところにもってきて強い鎮痛剤は体に害があるのではないだろうか。医者の出している強い痛み止めの薬のことが気にかかる。薬剤師をしている友人に聞いてみようと処方箋のコピーを取る。
義父は昨日も今日も食欲があった。私が焼いてもっていったバナナケーキをほんとうに喜んで食べてくれる。一切れずつラップにくるみ、2日分を残し残りは冷凍する。これがなくなるころまた焼いて、向こうから送ろうと思う。
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