たりたの日記
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私の家から歩いて5分もかからないところに静かなギャラリー喫茶がある。何しろあたりは住宅か梨畑しかないおおよそ店などない場所に木立に囲まれてその店はある。入り口から雑木林の中の小道をたどって入り口のドアを開ける時には森のはずれのおばあちゃんの家のドアをたたくあかずきんちゃんの気分だ。春にはにスミレがたくさん足元に咲いているし。
今日は久し振りに訪ねて来てくれた友人と連れ立ってそこへ行った。何しろ小さな町だから見知った人がいても珍しくはない。いつも花の苗を買っている花屋のおじさんがいたので会釈する。この前バラの土のことでいろいろ質問に答えてくださったのだった。あのきれいな方はどこでおみかけしたのだろう、確かこの前行った歯医者さんの受付にいた方だ。すてきな陶器のカップにコーヒーを入れて運んで下さったのは息子の友達のお母さん。お昼を少し過ぎた時間だったからかいつもより人が多かった。庭に面した広いガラスを通して見えている2月の木々は私のすきな林の様子をしていた。
私たちが話こんでいるうちに周りの人はいつの間にかいなくなり、後ろの暖炉でパチパチ薪の爆ぜる音が聞こえ始めた。音楽はヘンデルのヴァイオリン協奏曲からキースジャレットに変わっていった。話は尽きないけれどもう時計は4時。よい空間と時間とを友と分かち合うのはいつも楽しくそしてなごり惜しい。私たちはまた林の中の小道を少しだけ歩いて日常の空間へと戻っていった。私の家からわずかに5分のところなのだからもっと行ってもいいと思いながらいつも林の入り口を横目で眺めては自転車で通り過ごしている。
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