たりたの日記
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台風が来ている。でもテレビをつけるのがめんどうで、台風の進路がどのようになっているか知らない。今のところ風もない。 こういう日は書く気分になる。2つの詩の投稿サイトに投稿する。 「詩人ギルド」というサイトはテーマがその都度、出されているようで、 「ゴミ」または「豆腐」ということだった。 とても詩になりそうにないテーマというところがミソなのだろう。 それで豆腐の詩を書いてみた。
異国の豆腐たちへ
あの頃は豆腐を求めて 一時間も車を走らせ いくつもの知らない町を通りすぎ 小さな町のチャイニーズの八百屋に 豆腐を求めて通ったのだった なつかしい顔をした 白い柔らかい豆腐は きれいな水の中で行儀よく待っていた そこだけに光りがたまっている ざらざらとした舌触りの日常にあっては 豆腐の繊細さが時に必要であった
アメリカ人の友人を昼餉によんで 豆腐を差し出す 鰹節をたっぷりのせて ねぎと生姜と醤油を添える この美しい食べ物を私は伝えねばならないと 使命感に震えるようだった
この四角く、白い食べ物が いったい何からできているかあなたはご存じ? 鰹が鰹節になるまでの 気の遠くなるような時間と工程をも 私は語らねばならないと ひどく愛国の人になったものである
祖国に戻り、ピーナツバターがなつかしい今 アメリカの友人からメールが届く
豆腐を食べてます、ブルーベリーのジャムはよく合うわ
異国で生き延びている豆腐たちよ ブルーベリーのジャムにどうか気を悪くしないでおくれ 君たちは君たちの道を見つけていくしかないのだから
今宵、湯気の中に豆腐をつつきながら 異国の豆腐たちを思っている
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