たりたの日記
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映画「ショコラ」、楽しんだ。 Once upon a time、むかしむかしで始まる映画はもうそれだけでわくわくする。しかも場面はフランスの田舎町、観光客も無縁な土地。 始まりから、お話の世界にひきこまれた。
戒律の厳しい閉鎖的な町にやってきた母と娘はチョコレートショップを開く。 不思議なチョコレート。心が開くチョコレート。食べた人は幸せな気持ちになっていく。 人は変わる。町が変わる。当然変わっては困ると考える人間もいる。彼女はチョコレートを武器に、権力や支配に闘いをいどむ。 おとぎ話の常に従い、みんな幸せになったとさ。めでたしめでたしで終わるこのストーリーは見終わった後、まるで自分も彼女の作ったチョコレートを食べたかのような気分になった。ふうわりとした幸せ感。しかもそれはかなり深いところにしみとおってくる。 いったいこれは何だろう。
おとぎ話の常のようにそこには、シンプルなストーリーの中に、深い深い人間 への洞察がある。心理学や哲学のテーマがひっそり隠れている。その人の立場やものの見方によってそのストーリーはどのようにも見えてくるはずだ。 束縛と解放。キリスト教と異端。聖職者と治癒者。母と娘。男と女。定住と放浪。 集団と個。依存と独立。神聖と人間性。 思い付くだけ並べても、このくらいはある。そのどれからでも、この映画について語れそうな気がする。別の人はまた、別のキーワードのリストを作るのだろう。
男と女というテーマを取り出してみよっかな。 町一番の力あるレノ伯爵は町の住民を支配していた。神の言葉を取次ぐ若い祭司の礼拝の説教も自分の支配の下に置く程(だいたい男は秩序や規則や序列を人の間に作ろうとする)。そこに現れたのはチョコレートを手にした一人の女ヴイアンヌ。彼女の仕事はひとびとの心を閉ざされたところから解放すること。伯爵は神様を持ち出し、女を悪魔よばわりするけれど、そしてたびたび、世の男たちは手に負えなくなった女を魔女に見立てて排斥してきたけれど、神様がそんな男たちの味方をするものですか。 女は根っこのところで権力や支配がきらいなの。命を産み出す女はその命のエネルギーが何を求めているのか、直感的に知っている。そしてヴイアンヌはチョコレートで町中を、あの頑な伯爵までを変えてしまった。ほうらね、女ってこんなに強いのです。
ふふふ、時にはこんな暴言吐いてみたい。まだまだ女が男に支配されてる社会だもの、いいじゃない言うくらい。
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