たりたの日記
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2001年04月29日(日) 海岸で

弟の家族が新しく住むようになった家は海のそばで、5分も車で行けば海岸に行ける。
おにぎりを持って海岸へ遊びに行く。
海岸から少し離れた草原でシャボン玉を飛ばしたり、ボールをけったり、フリスビーをしたりして遊ぶ。

障害を持つ下の甥も、上機嫌で敷物の上に座っている。自然の風や陽射しがここちよいのだろう。
きのうは彼は人込で疲れたのか機嫌が悪くなった。彼の不快さを表わす表現のひとつが、独特の節回しの歌だった。仏教の声明のようだと弟たちが言ったが、確かに古代から伝わってきたような不思議な響きだ。彼には悪いけれど、その声があまりに心の深いところに触れてくるので、そして美しいのでもっと聞いていたい気持ちにさせられる。

彼は他の子のように言葉を持っていない重度の障害児だ。けれど彼を見ていると、彼の存在するそこのところの空気が明るく、澄んでいて、不思議なエネルギーに満ちているのが分かる。彼は言葉では伝えることのできない何か大切なものをまわりに発しているようにさえ感じる。
彼が彼の貴さを失っていないことの向こうに弟たちの家族のしてきた貴い仕事が見えてくる。彼を育ててきたひとつひとつの事がうかがえる。ほんとうに頭が下がる。そして誇りに思う。


たりたくみ |MAILHomePage

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