サーモンピンク・フラミンゴ
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2012年05月22日(火) 「私のどこが好き?」という地雷

少し前のナナワタに書きましたが。
ナナに「じょりぃは私のどこが好き?」と聞かれましてね。メールで。
ナナがものすごく落ち込んでいたときです。

で、ワタシは「顔見てゆっくり話したいから、会ったときに( ^ ω ^ )」めいた返事を送りまして。
この言葉自体にウソ偽りはなかったのですが、実はこのときすぐに「こういうところが好き−」と返信をしなかったのには、もうひとつ理由がありました。

「私のどこが好き?」

この問いは

地雷を多々含んでいる場合が多い、というよりも、この問いそのものが既に地雷、ということを経験で学んでいるからであります。


これがですね、つきあい始めとか、ふたりとも愛に満ちてゴキゲンで、キャッキャウフフしているときとかですね、
そういうタイミングで発せられた「私のどこが好き?」でしたら、
その流れでキャッキャウフフしながら

「んーー、全部!」

とか叫んでチュッチュしたりさわさわもみもみしたりしちゃえばですね、
これはもう、全然地雷じゃないっつーか、傍で見てる人が不愉快という名の宇宙線みたいなモンに軽く被曝する程度の被害でしてね、
本人たちは勝手にやってろっつーお花畑状態なのでシアワセな問いなんですけれども。

相手が落ち込んでいる場合。
特に、自分に対して自信を失っている場合。
そのタイミングで発せられた「私のどこが好き?」という問い。

これは、地雷です。
しかも、どこ踏んでも爆発しますからね。
ワタシとアナタの関係性、という名の荒野に、びっしり埋まっちまってますからね、地雷。

で、そのタイミングで「私のどこが好き?」が発せられてしまった場合、
発せられてしまった方は何が悲しいって、地雷がびっしり埋まってるのを承知の上で、1歩1歩地雷を踏みしめてそれでも前に進んでいかねばならないことなんでございますよ!

それでもですね、できるだけ小さい地雷を選びながら、ちゅどーんちゅどーんと進んでいく、という方法がないわけではないんです。たぶん。
しかし、それをするには、ものすごーーーーーーく頭を使わねばなりません。
今、相手はどんな精神状態なのか、どんなことを言ってほしいのか(実際、ワタシが相手のどんなところが好きかなんて、相手はあんま興味ないんですよこれが!)、特に大事なのがどんなことは言ってはいけないのか、それらを手がかりに、小さめの地雷を選んで進んで行かねばならないのです。
もう、こんな無理ゲーあんまりよ!と叫びたくなりますが、しかし、この無理ゲーに指名されるというのは、相手との関係性において、非常に名誉なことでもあるのであります。
相手は藁をも掴む気持ちで、ワタシに「私のどこが好き?」と聞いてきてるわけですよ。なんと名誉な藁。
その藁に指名される人というのは、たいていの場合「私のことは否定しないでくれる人」という信頼を得ている場合が多いと思うのです。

あるいは逆に、信頼がいまいち足りなくて、試されてるような場合もあるとは思いますが。
たとえばナナがパパに「私のどこが好き?」と聞いたのなんかは、藁をも掴む気持ちというよりは

「はい、じゃあ、抜き打ちテストします。これ合格しないとそりゃあもう大変なことになります」

というニュアンスが強かったのではないかと。
試される藁。
掴む方も必死なんでしょうけど、掴まれる藁の方もね、大変なんでございますよ。


そして冒頭に戻りますが、ワタシがナナのこの問いに対してすぐに答えず、「会ったときに話すね」と返事をしたのは、これら(どのへんの地雷なら被害を最小限に踏めるか)をゆっくりと考える時間を自分に与えたかったから、という側面もあったのであります。
もしそれをせずにですね、メールの流れでですね、うっかり正直に

「うーん・・・なんかよくわかんないけど、中学の頃からずっと好きだし・・・好きなのがあたりまえみたいになっちゃってるし・・・難しいなー」

なんつっちゃったらアウト。

「じゃ、中学のとき、あたしのどんなところを好きになったの?」

なんて返しがまず来ちゃったりして。んで、ここでもうっかり正直に

「いや、それがよくわかんなくて。・・・エロかったとこ?(・∀・)」

なんてやっちゃったら、おそらくナナの涙は止まらなくなります。

ちなみに「いいところも悪いところも含めて、全部だよ( ^ ω ^ )」なんてゆー、タイミングが違えば嬉しくなっちゃうような答も、この場合はアウトです。
相手は、具体的かつ、自分の自信が回復できるようなピンポイントな答を、しかも複数期待していることが多いからです。

ということでですね、ワタシ、次にナナと会うときまでに、ナナが納得して、自信も回復できて、話が終わる頃にはナナがにこにこできるような、そんな答を用意しておこう、と思っていたんですよ。
なのにあのせっかちオンナ、待ちきれずに次の電話で「今すぐ聞かせて」なんて言うもんですからね!
まだ考えてなかったよ!しまった!

結果→  「あー・・・うー・・・ええーーっっっっっっと・・・そのぉ・・・なんだなぁ・・・・・?」

と、イントロがやけに長くなって、この時点で既に地雷一個ちゅどーーーんですよ。
しかも、これ、あまり小さい地雷じゃ、ない。

それでも、しろどもどろになりながらも、一生懸命、現在ナナが抱えている自信喪失具合や、ナナが言われて誇りを持って「やっぱそうだよね!」と言えるようなことは何だろうとか、あとはワタシ自身が心から「こういうとこが好きだよ( ^ ω ^ )」って思うところとかですね、考えながら、なるべくオリジナルの言葉でもってお伝えしたわけですよ。

ちなみに、ナナワタにも書きましたが、抜き打ちテスト第一回目の、「試される藁係」のパパの答は

「パパのこと好きでいてくれるところ」

ということで、ナナは著しくがっかりしておりました。

抜き打ちテスト第二回目は

「得意そうな顔してへへんって笑うようなところ」

ということで、ナナはあらためてがっかりしておりました。

で、「信頼される藁係」であるところのアテクシの答なんですが。

こーれーがー。
自分でもびっくりしちゃったんですが、実は答に困りましてね!
だって、こう言っちゃなんなんですが、その当時、ナナのいいところって、なくなっちゃってたんですもん。(ひどいよねーワタシ)
当時のナナの性格を説明してみよ、って問題がテストに出た場合、ワタシの答は、こう↓

嫉妬深く疑い深く、あまり笑わず、感性も鈍化しており、一緒にいてあまり楽しくない。
自分の感情には敏感だが、相手の感情はおかまいなし。感謝の気持ちはあまりない。
悩むのが趣味っぽい。ひたすら暗い。オシャレにとんと無関心になっちまった。
相談するくせに人の話あんまり聞かない。
そして、話相手であるワタシについての興味は、まるで、ない。  以上。<低い声で

ナナがこんな状態で、そしてワタシのナナに対する当時のとらえ方がこんなである状態で、「私のどこが好き?」って聞かれちゃったワタシのあわあわ度ったらアナタ。
そりゃ、あーだのうーだのええーっとぉ、だの唸っちゃうってもんですよ。
ワタシの足のサイズ、23.5cmですが、このときは30cmの靴履かされて地雷の荒野を歩かされるようなモン。踏み幅、いつもより大きいゾー☆

かといって、ウソは言いたくないじゃないですか。
思ってもいないようなことを、「ここが好き」とはですね、ワタシとしても言いたくないです。
それにナナもあれでうるさいですからね、思ってないこと言えばすぐにそれを指摘することでしょう。

てことで、苦し紛れにワタシがまずお伝えした、「好きなところ」・・・を「良いところ」と言い換えてお伝えしたのがこちらです。

「ええと、  あの、  ヤなこと考えるのめんどくせ!ってゆーワタシと違って、とことんひとつの問題について悩み抜けるのが、すごいなーてか、あの、良いところっつか、立派だなと、思い、 ます」

結果↓

ちゅどーーーーーーん

ほかにもいくつか挙げましたが、ほとんどこの調子。ちゅどーん
たまに、もう少しナナがウキウキするようなことも言いましたが、「でもそれ、今のあたし、違くない?」と鋭いツッコミが入ります。ちゅどーん
あるいは「そうかなあ?」とかですね。ちゅどーん
これはホントにいいところだし、ワタシは好きよ?ってこともですね、「そうかなあ?」ちゅどーん

これもナナワタに書きましたが、こうなってくるとですね、さすがに丈夫な藁でもですね、疲れてくるんですよ。
何度もちゅどーんしてれば、そりゃ疲れますよ。
藁、くったくた。 もう焦げ付いて、火縄銃の残骸みたいになっちゃうわけですよ。

で、最終的に「ワタシに言ってほしい言葉でもあるの?」と逆質問する形になっちゃったわけですが。
最初からこれ言えばよかった。


ワタシ実は、この「私のどこが好き?」を、かつて、きょんに、それはもう、さんざん、さんざんやられまして、
そしてそのたびに泣かれまして、そのたびに大ゲンカになっていたので、こうなることはわかっていたはずだったんですよ!
きょんがもうすっかりその問いを発しなくなったので、忘れちまってましたよあたしゃ。

きょんが「私のどこが好き?」をワタシによく聞いていた頃。

きょんは、やっぱり自分に自信を持てない人でありました。
プライドは高い。自分はもっと人に認めてもらっていいはずだ、と思っている。
しかし、どうも思うようにいかない。
そこで、おそらく自分のことをいちばん愛してくれていて、いちばん認めてくれているであろうワタシに、矛先が向くわけですよ。
「私のどこが好き?」と。

で。

ワタシ、今だからこそ、「あ、この問いは、ワタシがきょんに対してステキだなって思っていることを答えるのではなく、きょんが自信を回復できるような、納得できるような答を返せばいいんだな」ってわかるんですが。

当時はワタシも若かったですし。
今よりずっと自分中心に世の中が回っておりましたし。
なにしろ「自分が絶対正しい」というハナモチならない独善的な人間でありましたし。
おまけに、ワタシったら、変なところで、すごく素直☆

なもんで、嬉々として「こういうところが好き( ^ ω ^ )」と、「ワタシがこう伝えるからにはおまえ嬉しいだろ」くらいの気持ちで自分の言いたいこと(しかも今思えば幼く偏った『好き』でござるよ)をお伝えしまして。
そしてきょんは怒り、泣き、何これ大いなるとばっちりじゃんとやっぱり怒ったワタシと大ゲンカになる、と。

なんかすごい理不尽!
と、当時は思ったものであります。
相手の思う「好き」が自分の思い通りでなかったからって、そんな風に泣いたり怒ったりするのってどうなの?と。
ワタシなら、自分が思ってもいなかったところを好きって言われたらうれしいけどな!と。
だって、『人から好きって言われたところ』リストに、項目ひとつ追加できるんですよー? 嬉しくないですか。

実は、ホントのこと言うと、いまだにワタシはそのように思ってます。
なので、きょんやナナが、「期待してたのと違う」とぴーぴー泣いたり怒ったりする気持ちが、ホントはわからない。

しかし。

自分としては誠実にいっしょーけんめー答えたつもりでも、「期待してたのと違う」とぴーぴー泣かれることはある、ということは理解しましたのでね。

ワタシは以前よりやさしくなりました。
ワタシが相手に対して好意的に思うことを伝えればいい、という単純な問題じゃないんだなと。
あちらはワタシの気持ちが知りたいわけではなく、「言ってほしい言葉」がどうやら既にあるらしい、と。
そして、とにかく地雷を踏みながら、相手の気の済むまでつきあって進んでいかねばならないのね、と。 知った。

まあ、きょんとナナ、たまたまふたりがそーゆータイプだった、って話なのかもしれませんが。
・・・てことは、ワタシ、こーゆーめんどくせーオンナが好きってことなのかしら。いやだわあ。できるだけラクして生きていこうと思っているのにー。

みなさまはどのように答えていらっしゃるのでしょう。
「私のどこが好き?」と、切羽詰まった相手から尋ねられた場合。

もし地雷を踏まずに進んでいける方法をご存知でしたら、無知で無神経なじょりぃに、ご教授いただければさいわいでございます。



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