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2007年02月16日(金) ■ |
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ものかき |
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毎年、とある劇場で行われる演劇の脚本を任されるんですが、いっつも納期ギリギリアウト(駄)なので、今年こそは楽屋や舞台袖で死にそうになりながら書くのではなく、早々と第一稿をあげて、客席から余裕綽々といった顔で役者が必死になっているのを笑ってやろうと思っているのです。
小説と、芝居の脚本というのは書き方が全く違うので、書くのに時間がかかるのです。小説なんか「ここは札幌である」って書けば、ああ、札幌なんだな、と読者が勝手に納得するからいいものの、芝居の本に同じことを書いたものなら、舞台装置さんは札幌っぽい装置を必死で作り始めるし、演出家は札幌であることを舞台上にどう表現するのか悩み始めるし、役者は札幌ッ子の言葉やしぐさを習得しなければならないし、そりゃもうえらいことです。 その上、芝居というのは「空間」を見せるものだから、安易に「私、札幌からフロリダへ行くわ」などと言おうものなら、もうしっちゃかめっちゃかになるわけで、小屋の大きさとか、舞台装置とか、衣装の転換はどうするとか、照明は何発釣るんだとか、色々なところから悲鳴が聞こえるので、書いてるこっちも「知らん」では済まされないのです。
そう考えると、だんだん視野が窮屈になっていき、でも納期は迫ってくるしで、ああ、作家になるという夢を早々に捨ててよかったなあ、と毎年この時期になると思うのです。
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