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2006年01月04日(水) ギロビッチがTVにでている

日本では『人間、この信じやすきもの』新曜社で有名なギロビッチ氏がテレビのCMにでていた。映像は以下でみられます。

http://www.daiwatv.jp/group/cm/cm_main.html

人間が合理的に判断すればすぐにわかることを、いかに愚かにやっているかということを実例とともにわかりやすく示してくれている本である。私も授業で、ロンドンにナチスドイツのミサイルには標的があるのだという迷信についての図をよく使う。その話とは、・・・実は、当時のミサイルというのはそれほど精度が高くないので、実はランダムに落ちていた。にもかかわらず、当時のロンドン市民はねらっているに違いないと思っていた・・・という迷信である。

私はこのような結果からどういう結論を導くかというのが大事だと思う。ギロビッチは上述の本の最終章で、だからみんなに統計学の勉強を熱心にさせるべきだという。そうすれば、みな合理的に判断できるようになって、愚かな間違いなどおこらなくなるのだということだ。

そういう側面もあるかもしれないけれど、おそらく統計学をならい、合理的思考に私よりもずっと慣れ親しんでいたであろう理系のエリートたちがオウムサリン事件なんか起こしていることを考えれば、教えればすむというような、そんな簡単なことではないだろう。合理的に判断できないということからはじめて、人びとがいかに非合理的な思考に、どんなふうに妥当性を見てとっているのかをみる必要があるんじゃないだろうか。

さて、CMには二つのパターンがある。ひとつは、給料の2割を貯金しろといわれると無理だという青年が、給料の8割で生活してごらんといわれると「やってみる」というというシーンがながれ、「人は思い込みにより事実を正確に捉えていないことがある」というテロップがながれる。もうひとつは、少年は勇気がなくて女の子に声をかけられないでいたのだが、迷っているうちに彼女は突然引っ越してしまったというシーンが流れ、「人間は、行動した後悔より、行動しなかった後悔の方が深く残る」というテロップが流れる。

こういうとき、何が合理的なんだろう。思いこみにまどわされて「高いから」と保険に入らないでおくというのは間違いである。なにかあってから「ああ、保険にはいっておけばよかった」と思ったら、そのときの後悔はとてつもないよと警告する、ということが言いたいのだろう。でも、そもそも合理的に考えれば、CMなんていうのは自社製品を買わせようという目的のもとに、(嘘はついていないとしても)説得的コミュニケーションをしているのだから、このCMをみて「そうか、保険でもはいっておくかな」と思わされたとしたら、なにか見落として、うまい話しにのせられてはいないだろうかとチェックしたほうがよいということになるんじゃなかろうかね。


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