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2005年09月10日(土) 日本心理学会

の1日目。朝から、『脳と他者と私』と題するセッションにでる。このセッションは数年前から北海道大学の石黒先生が中心になっておこなわれており、北海道にある高次脳機能障害の会である「コロボックル」と研究者チームとの共同研究の成果を発信するものである。

能智先生、恵介さん、石川先生のご発表。いずれもおもしろかったし、石川先生の話はなんとも心にせまるものであった。

中心となったテーマは、脳の問題を生理学的実体としての脳にとじこめて考えるのではなく、むしろ、脳が私たちの生活にもたらす<意味>について考えようということであったように思う。

クオリアの茂木先生は、「脳」をなにか中枢としてではなく、大きな対人関係のシステムのなかに位置づけようとされている。が、私たちの通俗的な理解としての「脳」は、まだまだ人間を中心で操っている特別なものである。その意味で、今回のシンポはこうした通俗的な「脳」の理解に対して一石を投ずるものになるかなと思った。

しかし恵介さんはいつもいつもスリリングですごい発表ですわ。

午後は『社会構成主義のプラグマティックス』東京学芸の浅野先生や、「いじめの社会理論」で有名(一部で?)な内藤朝雄先生、と臨床心理学サイドから佐藤先生が話題提供された。

いずれのご発表もおもしろかったが、とりわけ浅野先生のご発表のなかでは、物語化を失敗させるものとしての<出来事>という言葉が印象に残った。それから内藤先生の<界>連関モデルも面白い。これからちょっと勉強してみたい。

最後のセッションでは『研究成果について研究協力者と対話することの意味』と題するワークショップで指定討論をつとめた。話題提供者は安田さんと、荒川さん。

安田さんは、僕が大学に赴任して1年目に、質的論文を書くことを支援する研究会にコメンターとして参加したときからの間柄であるので、研究についてはよく知っている(つもり)。

発表のなかでは、誠実に研究協力者に成果を返そうとされていて、そこで肯定的な反応のみが得られたことに対して、ありがたく思いつつも違和感を感じていることが語られた。

対話にはいろいろな定義があるだろうけど、僕は「これまで考えもしなかったようなものの存在に気付くこと」が対話なんじゃないかと思っている。つまり「ああ、これはこの話か」と受けとる枠組みをすでにもっている話ではなく、この発話をどう位置づけてよいかわからないような、そんな体験にふれることなんじゃないかなって思う。

つまり研究者側はいつまでたっても対象者のことをわからないとウロウロしているのが実はよかったりするのではないか、と。



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