監督 安藤尋 出演 市川実日子、小西真奈美
シネ・アミューズにて
「観た」という人達の評判が思わしくないので やっぱり原作モノは期待してはいけないのかしら? と観る前から少しがっかりした気持ちだったのですが
何故か号泣している自分。
なんでだろうね? 映画を観て泣くことはあっても 号泣は初めてでした。 本当に嗚咽もらしそうなのを必死にこらえてました。 とめどもなく涙が溢れてくるのです。
原作は一応読んだことはあります。 正直ここで言わせていただくならば 原作にピンとこなかったです。 魚喃の漫画は好きだけど blueも好きだけど私にはちょっと理解しかねる部分があった。 むしろ私は市川実日子という女の子に思い入れがあったので 今回この映画を楽しみにしていた部分の方が大きかったのです。
でも他で感想を読んだりすると 原作自体に愛着があるという方が多くて 映画に対する感想は辛いものがほとんどでした。
私も原作漫画と映画はまったく違うモノを描こうといていることには同意します。 だからこそ原作の魚喃さんは映画にかなり協力的なスタンスだったんだろうなぁと。
比べるのも何ですけど 「ピンポン」は作り手側(監督、俳優を含め)原作に忠実であろうとする部分が 私には気持ち悪かった。故に好きではない。
「blue」は原作の世界をリスペクトしつつ作り手がちゃんとその映画だけの世界を作ろうとしているのがいいと思った。
でもやっぱりつまらないと思う人が居るのはわかる。 それはそれでいいかな。 わからない人はそれでいいや。 むしろ わからないままでいてほしいかも。
「遠藤が好き」と言って砂浜で崩れ落ちる桐島。 夏休みの誰もいない暑い教室。 畳でただ寝転がる桐島。 窓の外を見ながら煙草を吸う遠藤。 夏の美術室。 遠藤をおいかけて泣きじゃくる桐島。 2人で見上げる夜空。 言葉にできないぶつけようのない嫉妬、怒り、もどかしさ。 「私は遠藤にとっては永遠に二番目」 「遠藤にはまた一番の人があらわれる」 「それでも私にとって遠藤は一番好きな人」
そういうことが全部、個人的な思い出に結びついてしまった。 そして新潟の風景はなんとなく私が育った町の空気感によく似ている。
映画の手法としては物凄く漫画のコマ割りみたいなものを意識してるなぁと。 あんまりカメラが動かない。 それとほとんどがロングで 桐島と遠藤以外の登場人物の表情はほとんどわからない。 心理的に重要な場面だけアップ。
構図がとてもいい。 きれいな映画なので是非DVDが出たら手に入れたい。
そういえば 私もセザンヌが好きで 美術部だった頃、静物画はセザンヌを意識して描いていたなぁ。
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