The Green Hills of Earth
2008年08月25日(月) |
水没…論点がずれていませんか? |
栃木県鹿沼市で女性が水没した自動車から電話で助けを求めたのに、警察も消防署も勘違いして動かなかったという事が大問題だという形でテレビは報道しています。
その報道は、論点がずれていませんか? 果たして、閉じ込められた女性からの電話、それを目撃した人からの電話は場所を特定するに値する電話だったのでしょうか。消防、警察は勘違いして出動できなかったのか、それとも場所が特定できずに出動できなかったのか、どちらなのでしょう。私は後者と思えてなりません。
私も何度か警察に電話をしたことがあります。その時に「今の場所を教えてください」といわれますが、自宅のすぐ近くでさえ、相手に確実にわかるよう場所を伝えるのはとても難しいです。自分の家なら住所をすらすら言えますが、そこから一歩外に出ると「えーっとね、○○駅のそばの△という建物の近くで…」とかね。運がよければ近くの電柱に住所表示があるかもしれませんし、近くの建物にもあって特定はできることがあるかもしれません。でも、今回はアンダーパスの下で、この女性「助けて」は言えたかも知れませんが、自分がどこにいたのかを正しく伝えられたのでしょうか。
遺族の方は「他と間違えるなんて許せない。」と憤りますし、「相手の言いたいことを的確に理解する」とか「相手から情報を引き出す」のは警察や消防の仕事だなんていう人もいますけれど、それは無理があるでしょ。
人が亡くなったことには同情はします。でも、通行止めになっている道へ侵入すること、冠水した時にどんなことが起きるかの知識が無いこと、それに対応する技術も無いことを考え合わせると、どちらかといえば、この女性の無知…免許を取るときにこれら対応を教えていないこと、そして自分がいる場所がすぐにわかるシステムが無いことが問題だと言えるのではないでしょうか。
今日も日本テレビでこの問題が扱われていて、「自動車は排気口(マフラー)が水に浸かるとエンジンが止まる」なんてウソを平気で言っています。これは明らかにウソで、排気ガスが出ている間は水は浸入してきませんからエンジンは止まりません。エンジンが止まるのはエンジンへの吸気口が冠水したときです。後ろが完全に水没してもエンジンルームさえ水の上に出ていたらエンジンは止まらないのです。(オフロード車でAピラーに沿って煙突のようなものを出している車がありますが、これはそこにエンジンへの吸気口を伸ばしていて、そこまで水没しても走れるよという仕組みなのです) 更に、この番組では、水溜りにはまるとドアが開かなくなる(事実…数トンの水圧がかかりますから、人間の力では開きません)事が言われて、だから窓ガラスを割る器具を買うべきだと結論しています。でも、水は上まで来れば水圧の力はなくなり、手で開けられます。エンジンが止まる前に窓を開けるとかそういう手段を一切端折って器具の説明って言うのはどうしても納得できません。報道自体も遺族の感情論ばかりで、この事故の問題点がどこにあるのか呆けたままです。
自分の経験も踏まえ、この事故で警察や消防が悪かったとは思えません。その女性もパニックになって自分の場所が正しく伝えられなかったのでしょう、近くに同じ事故があったからではなく、無くても正しい場所が伝えられなかったら出動のしようがありませんからね。 そのあたりははっきりしておかないと、単なる怠慢で片付けられそうな気がします。
運転をする人は、自分の車が常に安全であると考えてはいけない。それは運転免許を有する人の義務です。水没したらどうするかを考える人は余りいないでしょうけれど、こういう事故を機会に、一応頭だけの知識だけでも持つ必要はあると思います。
…え、私?…私は一度オフロード遊びで車を水没させたことがあるのです。 先にも書きましたように、マフラーが冠水した位でエンジンが止まらないのも体験していますし、どうやって脱出するかも経験しておりますから…経験は大切だよと言いつつ、こんな経験はない方がいいとも思います。
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