The Green Hills of Earth
昨日書いた「大阪府が小学校733校に警備員配置」に対して、「それでも小学生の子供を持つ親には安心の材料になる」という旨のご意見をいただきました。
それはあるだろうなとは思いました。確かにいくらマニュアルを配られたとはいえ、犯罪対応では門外漢である教職員しかいない現状より、その対応を職業としている人がそこに一人でもいるという事はとても心強い事ですから、保護者の方だけではなく、教職員の安心感も違ってくるだろうと思います。しかし、斜に構えて見ると、この処置をしたことで「これで大丈夫」という気持ちになるのが心配だと思うのです。防犯カメラや「警察官立ち寄り場所」という看板も、常識ある人への警告、抑止力にはなりますが、犯罪を目的として侵入してくる「覚悟を決めた人」への抑止力は全くないのです。警備員の常駐も、その前を通って侵入しようとする輩には効果があるとしても、そこを避けて侵入する輩には無力に近い訳ですね。たぶんに警備会社の方は人を常駐させるにあたり、監視カメラの設置や防犯体制の確率などを様々に提案していくのではないでしょうか。しかし予算がないとか、最悪は業者の出入りにいちいち対応するのが面倒等という理由で提案は蹴られたり、ないがしろにされたりしてしまう事が十分に考えられる訳です。ないがしろにされているのに「警備員がいるから安心」という状況はとても危険だと思うのです(とは言っても、その危険は今と同じレベルですが)。
今回の処置をしなければ、行政も学校も保護者も危機感を持ったままで、精神衛生上はとても良くありませんが、どうするべきかを考える事ができました。しかし、この処置によって安心と誤解してしまって、さらなる被害が出る事もあるのではないかと思える訳です。 様々な要因で「しなければならない事」が即「実行できる事」となる訳ではありません。それぞれの門に警備員を配置し、出入り可能なところには防犯カメラを取り付け、更に応援の警備員などが通報から3分以内に学校を制圧できる体制を常備する。そんな状況ができれば本当にいいのでしょうけれど、それはまず無理ですから、ではどうしたらいいのかというところで、今回の結論になったとは思います。 実施の根拠について、「根本的な解決はできないが、最善の処置をする」というのと「根本的な解決はできないが、取り敢えずやっておこう」という2種類が考えられます。似てはいるのですが、前者は責任を持って実施する事であるけれど、後者は無責任にやり投げる事を表している事を表します。今回の処置はどちらでしょうか。 今回の処置はインパクトはあります。潜在的に犯罪を犯す可能性のある人を全て投獄する又は監視をつけると言う事が不可能で、犯罪を犯す事を事前に抑止出来ない現状では、学校はもっと能動的な防衛手段を手に入れる必要があるのではないでしょうか。今回のこの処置がその手始めだと言う事なら私の太田知事を見る目が無かったという事です。しかし、今現在の状況では、私には「取り敢えず警備員をおけば文句言わないでしょ。それで済むならやっておきなさいよ」という後者の意見に思えたので昨日のような文章になった次第。
できれば、もうこれ以上テロ行為に等しい小学生への無作為殺戮行為などはあって欲しくないし、教職員や親御さんも安心して学校へ子供が通える環境が実現して欲しいと思います。 昔は地域の人たちが子供を見守る環境がありましたが、今はその環境が無くなってきました。自分の子供に他人を関わらせたくないと言う事なのか、老人の知恵をないがしろにしているのか、核家族化して家族以外とのつきあい方が下手になったのか…多分それ全部なんでしょうね。その辺りをもう一度改善するのはとても大変な事でしょうけれど、かなり有効な事だと思うのです。ただ、最近の犯罪は凶悪化していますから、地域の協力も大切ですが、凶器への対応が急務なのでしょう。今までの事件の大きさを考えて、教職員に犯罪者への対応をさせるような机上の空論ではない実用的な防犯マニュアルを作成して欲しいものですね。
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