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2001年07月27日(金) 黒電話と紙と鉛筆で十分

IT産業が不調だそうである。
ブロードバンドやらデジタルTVやら派手に煽っているもののそもそも誰が欲しがったというのか?
インターフェイスが従来のままのPCをこれ以上普及させようと考えること自体不自然だというのに。
いくら高速通信が可能になるとしてもいったい何を受信し発信しようというのか?
宣伝文句はあいかわらず旧態依然とした映画、音楽配信位のもの。日本人のどこの誰がそれを渇望しているというのだ?映画、CD、ビデオ、本・・そんなものは従来の方法で十分入手可能。わざわざオンラインに頼らねばならぬ積極的理由はない。
一方、発信する個人の側も高速通信が可能になったからといってそれに見合うコンテンツをどれだけ作れるというのか?動画?そんな情報量の多いものを人が見るに耐えうるものに編集する時間はどうするのだ?精々アングラAVが繁盛する位のもの。
大量の情報を送受信することが可能になったとしてもそれを消費、生産する時間は変わらない。
一日24時間は不変なのだから。
まさかPCに24時間張り付いてろとでもいうのか?
根本的に配信される情報がまったく従来のものと異なる性格のもの(たとえば自分の固有遺伝子情報とかメディカル情報、人格を移植したOS上にデジタル化したもうひとりの自分をインストールして自律的にライン上で情報交換させる等)にならぬ限り、従来のインターフェイスではもはや生身の人間がPCを道具として扱うことは限界なのだ。
ソフトが変わらぬのにハードだけ進化しても需要が見込めぬのは当たり前のこと。
人間のほうが進化しない限りブロードバンドなど宝も持ち腐れ。生身の身体に魂が宿っている限り、真の意味でのマシンとの融合は幻想に過ぎない。
デジタルテレビも愚の骨頂であろう。
数年後には従来のアナログTVは使えなくなるという。そんなにまでしてデジタルにしなきゃいけない理由もこれまたないのだ。単に電機通信業界の都合でそう決まったに過ぎぬ。
もっとも汚物みたいなTV番組ばかりが氾濫する昨今。見られなくなっても誰も困りはしない。むしろTVそのものから決別する良いきっかけになろう。デジタルTV化は皮肉にも地上波TVの自滅を意味するかも。
いずれにせよもうITごっこに付き合うのは馬鹿馬鹿しくなった。
結局、愚衆には黒電話と紙と鉛筆で十分なのである。


絶望皇太子