シンプリー・パーム

PDAブームを作り上げた超小型マシンPalmを世に送り出したPalm Computingの苦闘を描いたノンフィクション。いやあ面白かった。

PalmのコンセプトはCEOであるジェフ・ホーキンスが作り上げたものだけど,これが素晴らしいね。技術と使いやすさとコストのバランスを取りながら「使える」プロダクトに仕上げるバランス感覚がすごいと思いました。この本にもちらっと出てくるGeneral Magic社の仕事をしていた身としては,なんであのときこれに気づかなかったかなーと。初めてPalm(そのときはPilotという名前だった)を見たときには「ああ,これだ」と頭の中にあったPDAに対するいろんなバラバラな思いがピタリとかみ合うような感覚がしたものです。

しかしコンセプトで食えるわけも無く,Palmは身売りしたり,スピンアウトを画策したり,MSのCEマシンと戦ったり,波乱万丈の歴史を送りながら,会社は無くならずちゃんと製品をリリースしつづけている。これもえらい。まあとにかくPDAの歴史を知る上で最高の一冊であると同時に,1つのジャンルを作り上げた歴史的製品を追うエンターテインメントとしても一級ですね。
2002年12月02日(月)

ま2の本日記 / ま2