遠き神々の炎

ヴァーナー・ヴィンジの「遠き神々の炎」読了。厚めの文庫で上下巻なので通勤読書では,けっこう時間がかかった。銀河の片隅で遠い遠い昔に封印された邪悪な意識体を復活させてしまい,こいつが銀河全体を危機に陥れるという,これだけ聞くと昔のSFみたいな話です。

魅力的なのは,銀河は中心から外側にむけて大きく3つのエリアに分かれ,それぞれのアリアで空間の性質が異なるという設定でしょう。中心に近い「無思考深部」では,物質は高速に移動できず,コンピュータもまともに動作しない。中間の「低速圏」(地球もここに含まれる)では光速の壁がありコンピュータは高度なアルゴリズムを実行できない。外側の「際涯圏」では超光速移動が可能で,コンピュータも賢いのですんごい文明が発達している。いやまあデタラメといえばデタラメな設定なんだけど,これが面白いですね。文明は外へ外へと向かうわけです。で銀河の外側は「超越界」で,上位際涯圏に到達した文明が"超越化"した"神仙"の住む場所になっています。

邪悪な意識は際涯圏を浸食して,超越界まで脅かすようになります。そして邪悪な意識と一緒にその対抗策が封印されていたのでないかという推測の基に,邪悪君の封印を解いたところから脱出した宇宙船をめぐって大活劇が始まるわけです。なぜか主人公は女性と二人の子供と集合意識を持つ犬型宇宙人とスケボーにのったワカメみたいなやつ。一体どういう話になるんだかと思いつつガンガンと読めてしまう。キャラがちょっと類型的なのが気に食わないけど,これはストーリーが複雑なのをカバーするためかな。
2002年08月20日(火)

ま2の本日記 / ま2