煙か土か食い物 |
「煙か土か食い物」読了。傑作。ミステリノワールとかいう不明なジャンルらしいが,読んでみると「ボビーZの憂鬱」とか思い出す。でもちゃんと謎があるから,オフビートなミステリですね。
主人公のキャラがすごすぎ。奈津川四郎はアメリカでERの医師をやっているのだが,母親がけがをしたという知らせを聞いて帰国(これが福井ってのがまた変)。母親は実は連続主婦生き埋め犯に襲われたと知り,独力で犯人探しを始める..って書くとなんだか普通だけど,この四郎君は新本格ミステリ史上最強のキャラといってもいいっす。謎はがんがん解く。暴力はふるいまくる。女とは寝る。捜査には介入しまくる。これがリズム感あふれる一人称の文体で語られると快感快感。で,兄弟である一郎,二郎,三郎もすげーキャラであることが分かり,父親も祖父もすげー。どうなってんの奈津川家。
メチャクチャな謎が四郎の力技で解決していくんだけど,ラストも盛り上がります。この小説だけは続編は無理だろうと思ったのだけど,すでに出ているらしい。おなかいっぱいだから,続けて読めないっすよ。2001年のミステリではベスト1。
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2001年12月20日(木)
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