インターネットは儲からない

個人的に話題の本『インターネットは儲からない』読了。題名がよくなくて,インチキインターネット本と間違われそうだけど,中身はなかなかよかった。ほんのスタイルが変わっていて,数行から構成されるパラグラフが空行で区切られていて,積み重ねられるように続いている。これは他人が参照しやすいようにという配慮らしいけど,もう代理店のお兄さんあたりはパクリまくりそうなキャッチーさにあふれていますね。

話は大きく分けると3つあって,1つはインターネット黎明期における証言という側面。これは貴重で,こういう個人的な体験/証言というのはなかなか残ることが無い。大きな出来事のリアリティを伝えるのはこうした個人的証言の集合だと思うので,これからもどんどん残して欲しいものです。

2つ目は,60年代?から続く一種の民主主義ユートピア思想の現れとして,インターネットを捉える考え方で,これは一部はニューエイジ思想なんかと結びついて大変なことになっているので,手放しで歓迎するわけにはいかないかなあ。でもオープンソース運動なんかは,きっと『個人による全体への奉仕』みたいな考え方がベースにあるとしか思えないから,間違った使い方をするやつが悪いということかな。

そして3つ目がインターネットについてのするどい分析と提言で,おそらく多くの人はこれがメインコンテンツと感じることでしょう。私も思わず自分の仕事と照らし合わせて,考えてしまいました。企業が情報を提供してもユーザは決してお金は払わない。しかし,ユーザは情報に対して情報で応えることはある。という指摘は実に鋭いと思った。

インターネットビジネスのネタを探している人は一読をお勧めをします。
2001年07月28日(土)

ま2の本日記 / ま2