タクラマカン

ブルース・スターリング『タクラマカン』読了。いやこの人はうまいね。何がうまいかって,SF的視点から未来社会/文化を描くのが抜群にうまい。昔のSF(アシモフとかハインラインとか)だと,未来の社会って結局「でかくなったアメリカ」に過ぎない。アシモフの銀河帝国なんてまさにアメリカでしょ。タイムスケールが社会に量的な変化しかもたらさないというのがクラシックなSF観なのですね。これに対してタイムスケールが社会に質的な変化を与えると断言したのがサイバーパンクともいえます。スターリングはその中でも一番うまいのでは。貿易障壁のある日本と,牛を食わないインドが世界の二大勢力になっている(他の国は狂牛病で滅びた)とか,ヨーロッパの無数の小国の民族運動が同時多発しているとか,いいっすよねえ。リアルだ。
2001年06月26日(火)

ま2の本日記 / ま2