■ ヘッド・フォンから石田彰
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|| 2004年07月26日(月) 黒くて硬くててらてら光ってて暗くて狭くて湿ったところが好きなわりに速いせーぶつ ||


■それは洗脳である。

「ねえ、ママ・・・あそこになにかいるよ?」

我が家の極近いところに、某食べ物屋があるのだが、夜になると、その通りには、「そのせーぶつ」が大量発生する。いや、正確には「大量」でもなんでもないのだが、それがたった2〜3匹であろうとも、一騎当千のインパクトと戦闘力を持った凄まじい大きさであり。大凡直径5センチ以上の「それ」は、時折、翅を広げて飛んだりしては、人々を恐怖に陥れた。我が家では、その通りを「ゴ○ブリ通り」と呼称している。

時間は午後9時半をまわったところ、思えば多分、洗濯物を取り込んだときなんかに、紛れて入り込んだのだろう「そのせーぶつ」を、娘が発見。見れば、6〜7センチはあるだろうか、特大の「それ」が、我が家の天井に、怪しく触角を動かしながら蠢いているではないか・・・・今思い出しても鳥肌が立つ。

■それは洗脳である。

いや、それはわかっている。私自身にも、なぜこんなにも「そのせーぶつ」が怖いのか、よくわからない。その恐怖を、論理的に説明することは非常に難しい。しかし、どんなにグゥの言葉を反芻しようが、怖いものは怖い。まして、擬人化するなんて絶対に無理、櫻井孝宏の声なんてぜんぜん聴こえない。※あたりまえです

ここに住んで以来、そのせーぶつを自分の居住スペースで目撃したことは、もちろん、一度もない。ゆえに、それらを撃退するすべを我々は持っていない。

「パパ〜!!早く帰って来て〜!!」
直ちに応援を要請、娘と二人、部屋の片隅で固まりながらも「ヤツ」を見失うわけにはいかない。見失ったら最後だ。

数十分後。亭主が駆除剤を手に帰還、目標を確認。私は娘と共に持ち場を放棄、退路を確保する。

「白兵戦に持ち込まれたら勝てる見込みがない。」
「わかっている。」
「飛ばれたら厄介だ。一発でしとめろ。」
「努力する。」

恐ろしいほどの緊迫感の中、夫の人差し指がトリガーに掛かる。その目はさながら目標を捕捉するクルツ・ウエーバー、その姿は敵サベージに乗り込む相良宗介くらい男前に見えた。

「ぅてぇぇぇーーーっ!!」

戦場の霧が急速に退いていく。スプレー缶を片手に立ち尽くす男。露わになる敵の残骸。その凄惨な光景が、この激しい戦いを物語っていた。

「任務・・完了」

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