■ ヘッド・フォンから石田彰
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|| 2004年04月12日(月) 私と彼女と彼女の生きる道(パクり) ||


■土曜の夜に、娘が熱を出した。先日、風邪をひいたときも、鼻水と咳だけで、結局熱は出さなかった彼女が、39度の熱。以前の育児日記をひっくり返して見たところ、発熱は、約2年半ぶりであり。冷蔵庫の中に、使用期限が既に1年以上も前に切れている座薬があっただけで、毎度のことながら常備薬は無く、翌日は日曜日。ただ、風邪にしては熱以外の症状が無い。これはもしかしたら、環境が変わったゆえの、言わば「知恵熱」みたいなものなのではあるまいか。これまで、普段、頭など使ったことのない娘が、幼稚園という社会に属し、それなりに頭を使い、気を使いしたゆえのことではないだろうか。
おでこに「冷えピタ」を貼り、一晩眠ったら、案の定、朝にはほとんど引いており、夕方にはほぼ平熱に戻った。さすがにそういうデリケートさも持ち合わせていたか、我が娘。

■その彼女。智一のために録画していた「鉄人28号」の初回を一緒に見ていたときのこと。冒頭、正太郎の「わはははははははは」という笑い声で始まったそれに、いち早く反応する娘。
「あ、このこえ、ぱぷわくんだよね!?」
間髪いれずにそう宣う彼女に驚いた母はEDで確認したが、そのとおりであった。ウチの娘は、くまいもとこの声をも聴き分ける4歳児だったのか。

ただ、母は危惧する。そういう見方で「アニメ」を見るということは、果たして、良いことなのか悪いことなのか。子供のうちは、もっと夢のある「アニメの見方」をするべきなのではあるまいか。それもこれも、間違いなく、どう考えても私の責任であり。これは言わば、サンタクロースはいるんだよ、と言っておきながら、目の前でプレゼントのラッピングをするようなものなのではなかろうか。母は複雑な思いで彼女を観察する。

実は、幼稚園で「アンパンマンの歌」が歌えなかったらしい彼女。みんなが歌えるその歌を、彼女は歌えなかった。なぜなら、「アンパンマン」を見ていないから。
「アンパンマン」というのは、そんなに子供に認知されているアニメなのだろうか。幼稚園に、昨日今日入園した園児が、当たり前のようにみんながみんな歌えるほどの認知度だとは、正直驚いた次第。それも私の認識不足なのだろうが。

彼女は歌が嫌いではない。むしろ、よく歌う。「ナデシコ」の「YOU GET TO BURNING」だって「ふしぎ遊戯」の「ときめきの導火線」だって「エヴァ」の「残酷な天使のテーゼ」だって、とても上手に歌える。「ドラゴンドライブ」の「TRUE」や「天なる」の「だって、大好き」、「ぶーりん」の「愛はカッコわるい」なんて、十八番中の十八番だ。
でも、「アンパンマン」は歌えなかった。その事実に、彼女は少なからず傷付いた様子。一緒に練習しよう、と提案したが、直ちに却下された。なら、一緒に「アンパンマン」を見よう、と言ってみたところ、快諾。やはり「アニメ」から入らなければいけないのかもしれない。

幼児期、子供は親の影響をダイレクトに受ける。そういった意味で、私はよい母親ではないに違いない。しかし、「アニメ」という媒体を介し、多くのコミュニケーションをとってきた私たち親子の「時間」を、今更否定するつもりもない。そんな親子がいても良い、そう思う。これは「開き直り」ということになるのだろうか。

初めて大きな組織に属し、他人との比較対照を自分に課す機会が多くなることは避けられないはず。しかし、それも成長だ。他人と違うことを恐れるな。互いの手を離す時間が増え、不安なのは母も同じだ。


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