第十五話 〜まだ見たことのない日本画〜 - 2003年11月03日(月) 人には、色々なエネルギー源がある。 寂しさであったり、優しさであったり、笑いであったり・・・ そんな中には、怒りをエネルギーに変える人もいる。 年も同じ頃の、その彼女は なんだかそう言った意味で、少し辛口だ。 ずっと日本画を描いていて、素晴らしい賞も取ったこともあるらしい。 一人暮らしのアパートいっぱいのキャンバス。 寝ずに描き上げた作品はいくつあるのだろう。 まだ彼女の日本画は見た事がない。 淡い色合いだが、ひたむきな強さがあるのが日本画・・・ そんなイメージが私にはある。 理念や、信念、知識も豊富で彼女との会話はとても面白く いつも話している内に何らかテーマが見つかると、時間を忘れて バトルトークになる事もしばしば。 そんな風なのも彼女の持つ独特の魅力であり 私はそれが大好きだ。 怒りというと語弊があるかもしれない。 いわゆる根性とも言える。 なんでもバネにする。 どちらにしても かわいくない ・・・なんて言ってしまうと、それもまた誤解を招くだろうけれど かわいくない、という事は 本当はかわいい ということ。 そう、彼女はとってもかわいい。 素直に本人に言ってしまうと、どうも心地悪いらしい。 彼女はちゃんと自分で、かわいい所も知っているし かわいくない所も知っているので こちらも、ついついからかい気味にキツイ事など言ってしまう。 でも実は、私に対してはとっても嬉しくなる言葉を掛けてくれるのだ。 なんだかこっちまでくすぐったくなる。 そんな時、ほんの少し彼女の気持ちが分かる気がする。 気のせいなのかもしれないけれど。 そんな彼女、歯医者さんの受付をしながら 時折休みを取っては、旅行に出かけ 朝日が昇る海や、美味しそうな現地の料理の写真を見せてくれる。 今では、それら景色や自分の作品をポストカードにしては この住家で売ってみたりなんかもしている。 とっても力強いパワーが貰えそうなものや、 うっすらとした海と空のもの。 そんなものを眺めていると、やっぱり作品は 創った人間が出るのだなぁ、そう思う。 まさに日本画のよう。 そんな風に感じるのだった。 今日も彼女は家から仕事場まで、一時間かけて歩いていくのだろう。 これからの季節、彼女は帰り路 寒さにも負けないエネルギーを抱え、ここへやって来る。 その姿は、さらりとした髪に風をたっぷり含ませて とっても気持ち良さそうに見える。 -
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