業者の車の中で日をまたいだ。 実家の前に停車していた車を発車する前、弟が「お母さんもお兄ちゃんも、今日はうち泊まりいや」と言ってくれたけど、俺は「俺対人恐怖症やから。緊張しいやから辞めとくわ」と断ってしまった。 母親は「私は泊まらせてもらうわ。緊張するけど・・・」と言って、母親は今日は弟夫婦の家に泊まる事になった。 俺もやっぱり泊めてもらったら良かったかな・・・ こんな日くらい・・・ 車が発車し、芦屋のとある葬儀場に到着。 葬儀場には、警備員の人と、スーツを着た職員の人がスタンバイしていた。 車を降り、葬儀場に入る。 親父の遺体は、身体の細い2人(警備員と職員)が2人がかりで運んでた。 遺体を小さくて細長い部屋に入れて、安置した。 「お線香やってください」と言ってきたので、俺が一番に線香を火にかける。 しかし、なかなか火が付かない。 やっと火がついたのだが、テンパってしまっていて、俺が線香を刺すところに刺した2本の線香がV字みたいになってしまった。 俺はまたまた親父に手を合わせ、「南無阿弥陀仏・・・」と心の中で唱えてた。 次に母親、次に弟、次に弟の奥さんが同じように線香を刺して手を合わせておがんでた。 それから、会議室みたいなところに通される。 「どんな感じの葬儀にするか」の話し合いを行うとか。 その時点で午前0時を回っていて「遅くなってしまいますが、大丈夫ですか?」と。 俺は「大丈夫です」と言い、母親も弟も奥さんも大丈夫です、と答えてた。 それから、「こういうプランがあるんですが」と色々、棺やら祭壇やら客に配るお茶やらタオルやら、夕食のメニューやら色々と決める事になった。 「喪主は誰がやるんですか?」と弟が聞き、職員の人は「普通は長男さんがされます」と言い、俺は「長男ですけど、無理です。緊張しいなんで」と。 なので、母親が喪主を務める事に決まった。 その話し合いの最中、親父の昔の勤め先の元上司の俺が苦手なSさんという人から親父の携帯にメールが来て「□□君(親父の名前)、安らかに眠れ」みたいな内容だったそうだ。 話し合いの最中、俺は「親父、ほんまに死んでんな?現実感が全く無い」みたいな事を言った。 話し合いだけで2時間半くらいかかったと思う。 その間も、俺は対人恐怖症なのか、親父の死のせいか、心臓がバクンバクンと跳ねていた。 波があったな。 話し合いが終わり「今日の夕方にまた来てください。お葬式をします」という事になって、そこで葬儀場を出た。 弟の車で俺の地元まで送ってもらった。 弟の奥さんの△△さんが「ここら辺、めっちゃ綺麗。うちらんとこでは考えられへんくらい綺麗やわ」と言っていて、俺は「そうですか・・・」と。 うちの近所に到着し、弟に降ろしてもらった。 俺は弟に「ありがとう」、弟の奥さんに「ありがとうございます」と言って、それから家に帰ってきた。 そして日記を書き始めた。 現在午前4時04分。
せっかく楽しくなってきたところだけど、事情が事情だけにしばらくメガビを離れようと思う。 せめて親父の四十九日が終わるまでは・・・ 俺、前にネトゲの知り合いで「一昨日母親が死んだ」って言いながら、通夜当日?平気でゲームしてたって40代の奴が居た。 俺は「母親死んだばっかなんだろ?もっと思い出に浸るとか色々あるだろ」と言ったけど、そいつは「いいんだよ」と言いながらネトゲを続けてた。 俺はそいつとは一緒になりたくない。 なので、しばらくネット上の楽しみみたいな物から離れようと思う。 勉強は続けていくつもりだけど。
今日は葬式・・・ まじ、悪い夢なら醒めてくれ;;;;; 現在午前4時43分。 今日はそろそろ寝ようと思う。
あの子、昨日のメールで「おはようございます。お父さんの体力と強いメンタルならきっと抗がん剤治療にも耐えて、 凄い結果を出すと信じてます。 リュカさんが毎日のようにお父さんの元へ通って、家族の助けをしたり、 病院から外出する時の身体の介護もしてる... 今までのリュカさんを知ってる僕は、驚くことばかりです。 奇跡を起こしてるのはお父さんだけじゃない。 リュカさんの今の行動すべてが凄い奇跡やもん。 リュカさんが最初の一歩を踏み出してからこれまで どんな勇気を出して、どんな思いと葛藤しながら来たかと思うと胸が熱くなります(涙 だからお父さんも頑張る力になって、お母さんや家族が頑張れるんやと思います。 リュカさんはほんまに凄い人やし、僕は尊敬してます。 つらい中で一生懸命に頑張ってる人が好きです。 僕もいっそう強い祈りで、お父さんとリュカさんのご家族のことを祈ります」 と言ってくれていたけど。 その当日に死んじゃったな・・・
俺の英語が伸びた事についてもメールしてて、「英語凄い! 病院も通って、勉強もきっちりやるなんて...; リュカさんのお母さん、リュカさんをめっちゃ褒めてあげて欲しい」と言ってくれてた。 それについては、俺は「俺の母親は俺が英語やってる事、あんまりよく思ってないんだよね。『怠ける口実や』とか『勉強出来る時にやらんと、大学辞めてから勉強したいとか』って感じで」と返答していた。
現在午前5時01分。 今度こそ寝ようと思う。
まじ、昨日病院から帰る前、母親から「明日は来んでええで」と言われたので「明日はピザを頼もうと思う」と言って、母親からは「あんたは、またそんな自分を甘やかしてw」とか言われて、るんるん♪気分だったのに。 メガビも楽しい、英語も伸びた、親父とも和解出来そうってので、幸せの絶頂に居たのに。 いきなりそこから突き落とされた・・・ まだ実感が沸かない。 親父はまじで死んだんだ・・・
今日は午前11時過ぎに目が醒めた。 眠りが浅く、夢を見なかったと思う。
昨日、親父は死んだんだ。 現実感が全くない。 寒さのせいか、動揺のせいか、ガクガク震える。
今日の未明、葬儀場を離れる時、もう一度父の顔を見せてください、みたいになって、細長い部屋にもう一度入った。 そしたら、親父の顔が土気色みたいになっていて、俺が「皮膚の色が変わってませんか?」と言うと、職員の人は「そうですね。どうしてもね。これくらいの時間になると皮膚も変わってしまいます」みたいに言っていた。
昨日、病室で親父の遺体があって、俺が「親父って、今俺らの事見てるんかな」と言うと、母親が「上の方から見てるんかな」と。 俺は「俺らもびっくりしたけど、親父本人が一番びっくりしたかもしれへんな」と言い、母親は「そうかもしれへんね。『○○、何してんねん!』って言ってるかもしれへん。お父さんの一番の心配事は、□×(会社名)と、あんたの事や・・・」と。 俺は「そうやな・・・」と。 ずっと働け、働け、五月蠅かったもんな、お父さん。
一瞬だったけど、最後の最後で親父と和解出来て、愛着も持てて、その死で号泣出来るまでになって良かった、と思う。 俺がメガビに豚嘘を攻撃しに行ったのも無駄じゃなかったんだ。
昨日親父とした会話。 母親が整骨院に行っていて、テレビで「名探偵コナンの前に宇宙兄弟!」と、六太役の声優の声でナレーションが入り、「宇宙兄弟」が始まった。 そして、アニメの最初で「名探偵コナン」の高山みなみがナレーションをしていた。 しかし、親父はチャンネルを替える。 俺が「『宇宙兄弟』始まると、いっつもチャンネル替えるな、親父w」と言うと、親父は「アニメは観たあない」と。 俺は「でも、親父漫画とか読んでたやんな。ビッグコミックとか」と言い、親父は「そうやな」と。 俺は「『モンスター』とか『マスターキートン』もアニメ化されたんやで。ビッグコミックで連載されとったやん。それも観たないん?」みたいに言い、親父は「覚えてへんわ・・・」と。 続けて俺は「『あずみ』も俺漫画集めとったけど。あれはアニメ化せえへんかったな」と。 親父と病室に居ると、毎週毎週『宇宙兄弟』が始まる。 親父は読売テレビが好きなのだろうか。 元々母親に勧められて「宇宙兄弟」を観始めたのだ。 整骨院から帰ってきた母親に「親父、『宇宙兄弟』が始まったらまたチャンネル替えたw」と言い、母親は「あらwお父さん本読んでるけど、それでもアニメは嫌なんやw」と。 親父がチャンネルを替えたので、テレビは土狸?の特集みたいなのをやっていた。
弟の結婚式の前、俺の結婚式に履いて行く用の靴を母親と選んだ時、母親が「あんた、その穴の空いた靴下じゃあかんわ」と言って、「これ、お父さんのまだ使ってない靴下」と言って、新しい靴下をくれた。 その靴下を履いて行こうかな、と思ったけど、葬儀場で靴を脱ぐ可能性があるので、辞めておこうか。 せっかくの親父の形見の靴下だけど。
俺の将来の事を心配してくれる人が、1人居なくなってしまった事になる・・・ もう、母親だけだな、俺の親は・・・
今日の葬儀、出来るだけきちんと髭を剃りたいと思って髭剃りをしていたのだが、途中で髭剃りの充電が切れてしまった。 また充電しておかないとな。 現在午後13時28分。 葬儀は夕方からだ。 それまでには充電も間に合うだろう。
なんか、驚くほど冷静だよな、今の俺。 実の親が死んだというのに。
この動画でのび太のママとパパが「名前は何にしようかしらねぇ」「良い子に育つといいなぁ」というシーンで涙腺が崩壊した。 俺の親父と母親も、俺が生まれた時こんな感じになってたのかな、と思うと涙が止まらなくなってしまった。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm7955868
せっかくなので、綺麗にしていきたい。 今日もシャワーを浴びようか。
てか、靴下を買ってこようかな。 黒い靴下。 今日、葬儀に履いていくやつだ。
現在午後14時43分。 俺が通っていた大学への道を通り、洋服スーツ専門店みたいなところまで靴下を買いに行ってきた。 「黒い靴下ください。葬式用の」と言うと「こちらなんかはどうですか?」と言われたので、「それください」と言って買ってきた。 1000円だった。
昨日、病室に親父の遺体があって、俺と母親と△△さんだけの時、母親が「△△さん、死体とか怖ないん?人によっては『きゃああ』って近寄るのも嫌、みたいな感じになるみたいやけど」と言い、△△さんは「大丈夫です」と。 母親は俺にも「○○、死体怖ない?おじいちゃんが死んだ時、あんためっちゃ怖がってなかったっけ?」と言い、俺は「身内の死体やったら全然怖ないで。おじいちゃんが死んだ時、俺なんか興味津々で死体をペタペタ触りまくっとったやん」と。 母親は「ああ、そうやったな・・・」と。 俺が「それで俺、『おじいちゃんの目開けたらどうなってるやろう?』って言って、おかんが『そんな事したら祟られるで』って言って、怖くなって目を開けるん辞めた」と言うと、母親は「そうやったかな。私も適当な事言うてたわ」と。 そんな感じのやり取りをした。 母親は親父の死体に向かって「おーい、□□さん。私たち、先に行くでーw」と冗談っぽく言っていた。 もちろん、親父の遺体は反応しない。
靴下を買いに行った帰り、自販機で「ネクター」という桃ジュースを飲んで帰った。 このジュース、親父が好きで、入院初期の頃しょっちゅうネクターを飲んでいた。 俺はそれまでネクターというジュースの存在自体知らなかったけど、今回の親父の入院で初めて知った。 母親は「昔からある、有名なジュースやけどな」と言っていたけど。 今日飲んだネクターも、相変わらず美味しかったな。
昨日、親父が死んだ後、病室の外で弟が「お父さんの事、お母さんとお兄ちゃんに任せっきりで悪かったな・・・」と言ってきた。 俺は「××(弟の名前)は仕事があるねんからしゃあないやん」と。
髭は「もうこれ以上剃れないだろう」ってくらいまでシェーバーで剃った。 これくらいでいいだろうか。
親父の魂、今どうしてるんだろう。 父方のおじいちゃん、おばあちゃんには会えたんかな・・・
現在午後15時09分。 てか、風呂入る時間ないや。 1時間前には葬儀場に行っておきたいし。 昨日入ったし、まあいいか・・・
インスタントラーメンを食べた。 親父、インスタントラーメン好きで、毎週日曜日に自分で作って食べてたもんな。 今日で俺の家にあるインスタントラーメンは全て食べ終えた事になる。 足が臭くなっていたので、足だけチャチャッとシャワーで洗っておいた。
親父の遺体はまだ焼かれていない、親父の遺体はまだ焼かれていない。 まだこの世に親父の姿は残っているんだ・・・
親父の遺体を乗せた業者の車が実家前に止まり、俺は親父に「親父、家帰ってきたで・・・。ずっと神戸の家帰りたかったもんな・・・」と言った。 車の中で、母親に「(弟の)結婚式の時、親父と話して、親父『大人になったら葬式ばっかりになるで』って言ってた。まさかその葬式の第一号が親父になるとは思わへんかった・・・」と言った。
現在午後16時01分。 喪服への着替えが終わった。 一服してから、葬儀場に向かおうと思う。
現在午後16時41分。 葬儀場に到着。
ベルトしてくるの忘れた。 ハンカチも忘れたし。 しまったな・・・ まあ、いいか。
現在午後21時09分。 親父のお通夜が終わった。 今日は葬儀場に泊まりになるかも。 詳しい事は明日、親父の火葬が終わって家に帰ってきてから書こうかな。 今日が葬式で明日がお通夜だと思っていたけど、逆だったみたいだ。 今日がお通夜で明日が葬式。
現在午後23時50分。 葬儀場の就寝室から。 寝巻きが無かったので、置いてあった浴衣を着てる。 和服って、胸毛が出るから恥ずかしいけど・・・ 母親も弟も俺の胸毛には突っ込まなかったから良しとしとくか。 シャワーも浴びた。 体を洗うタオルが無かったからシャンプーだけした。 明日の午前9時前には起きていないといけないらしい。 今日はそろそろ寝ようと思う。 薬が無いから、眠れるかどうか分からないけど。 親父が死んで、もう24時間以上経ったんだ。
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