昨日の午後23時頃に眠りに就いた。 今日は午前5時過ぎには出なければいけないので、午前3時に目覚ましをかけていた。 午前3時になり、目覚ましが鳴る。 しかし、まだフラフラだったので、「もうちょっと横になっててもいいかな」とそのまま横になってしまう。 気がつけば、午前5時20分になっていた。 遅刻してしまう。 着の身着のまま家を出て、駅に向かう。 なんとか目的の駅に辿り着き、駅からタクシーに乗って現場に向かう。 (タクシー代は後から派遣会社の方に請求出来る) 午前6時20分頃に現場に到着。 間に合った。 午前6時30分から、知事選挙の投票案内のバイトが始まる。 しかし、仕事と言っても殆ど椅子に座っているだけ。 十数分にいちど、「こちらへどうぞ」「あちらですね」と一言二言案内するだけ。 楽なものだ。 ただ、俺の横に座っているおっさんが、俺の親父に激似な事が気にいらなかった。 顔も態度も雰囲気も話し方までそっくりだ。 ただ違うところがあるとするなら、頭が禿げているのかいないのかの違いだけ。 喋る時もボソボソと、聴き取れるか聴き取れないかのか細い声で話すしな。 「どうぞ」と言うのが恥ずかしいのか、このおっさんだけ投票者が来ても小さく「ん」と鼻を鳴らして見せるだけ。それ以外は殆ど無言。 それでも孤立する事に強いプレッシャーを感じているのか、他の役員達が明るく話しをしているのに対し、「gh gh gh gh」みたいな感じで、声にもならない反応だけを示し続ける。 そんな感じでしか話さないのなら、無言で居た方がずっと良い。 何こいつ。 まさに外に居る時の俺の親父そのものじゃねえか。 内弁慶中年のまさに典型。 俺の親父は外ではこんな感じなのに、家の中じゃ俺に対して「お前なんかと違って俺はこれで社会に通用しとるんや!」と声高々にがなり立て。 嘘付け、てめえ外じゃ全然違うじゃねえか。 この役員のおっさんも、そんな感じなんだろうか。 と、色んな共通点から俺の嫌いな実父がかぶり、かなり胸糞悪かった。 他の役員達も、何故だかこのおっさんにだけは殆ど話しかける事をしなかった。 後半、俺はこのおっさんと二人だけで休憩を取らされた。 すると、ここで始めて口を開いて俺に話しかけてくる。 「あんた、どこの会社から来てはんの?」とか「いっつもこんな感じで仕事してんの?」とか。 いやいや、あんた別に俺の事なんてこれっぽっちも興味ねえだろ。 そんなに沈黙が気まずいですか? いいから無理すんな。 そんな事を考えながら、「そうですね、短期の仕事ばっかりやってます」と聞かれた事だけ答えておいた。 そして、俺がタバコを吸いに出て部屋に戻ると、おっさんはまた休憩所を出て机の方に戻ってた。 まだ休憩時間は3分の1も残っているのに。 そんなに俺と沈黙しているのが気まずいのかよ? 前半の休憩時には、30分休憩のところを40分以上も休んでて、他の役員に注意を受けていた癖に。 俺だけ残っている訳にもいかなかったので、俺も早めに休憩を切り上げて席に戻らざるを得なくなる。 まあいいんだけどな。 そのおっさんに不満があった事を除けば、かなり楽なバイトだったと思う。 仕事の合間にしょっちゅうお茶やお菓子は出るし、休憩時間外でも好きな時にタバコを吸いに出ていける。 しかも、クーラーの効いた部屋での座り仕事で、やる事なんて殆ど無いし。 関係無いけど、支給された腕章も何だかかっこよかったんだよな。 白い皮の腕章で、筆で書いたような紺色の漢字で「○○市選挙管理委員会」とプリントされてて。 その他もろもろ、派遣社員として現場でこんなに高待遇を受けたのは初めてだ。 他所じゃ人間扱いすらされないような現場もあるのにな。 これが役人仕事というやつか。 俺も公務員になろうかな、なんて考えも少し心を過ぎってしまった。 労働時間は午前6時半から午後20時半まで。 休憩が1時間で実働13時間、拘束時間は14時間。 座り仕事が楽だとは言え、座りっぱなしは座りっぱなしで少ししんどいものもある。 ムズムズというかイライラというか、イーッ!という感じになってしまう。 でも、こんなに楽な現場は本当に初めて。 また来たいな。 仕事が終わり、家に帰った。 現在午後22時18分。 大体2日分近い時間働いたのに、「労働したんだ」という感覚が殆ど無い。 疲れるような仕事じゃなかった。
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