囁き
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ある日、ある大学のギターサークルの会議がございました。文化祭まで一ヶ月もないため、しっかりとした会議が必要だと、誰もが考えていたのでございました。
さて、ある男は、このサークルが嫌いでした。と、言うよりも、三人の先輩と、一人の同級生が。三年生の、内気なのかなんなのかわかりませんが、特定の人としかしゃべらない愛好会長。四年生の、自分のことしか考えていない24歳と、その人と仲のいい、同じような女性。彼女らに従い、言うことしかせずに何も動かない、来期の部長。
さて、会議というコントに放り込まれた瞬間・・・いえ、始まると知った瞬間から、彼は開いた口がふさがりませんでした。なぜ、18:00に閉まってしまう教室で、17:20から会議を始めるのでしょう?しかも、その一時間前には、全員そろっていたにも拘らずです。すでにこの道化師達の行動に、ついていくことが出来ません。 会議中も、彼は呆然としていました。文化祭の話は、その四人のうち、三年と四年の道化師の思い出話・・・言ってみれば、誰もわからない身内ネタが半分、会議が進むはずもございません。やめるやめるといい続けても、その話は次々と紡ぎ出されます。それならば、彼はそこまで呆然としなかったでしょう。彼がひどく驚いたのは、24歳の言葉。 「ほんと、あのころはたの・・・って、身内ネタだね」 彼女は、常々言っていました。昔の楽しかったころに戻したい。そういい続けて、二年生以下の部員を、ある意味ついていけなくさせ、やめさせ続けていたのです。しかも、このノリについていけないのならば、いいと切り捨てて。今、彼女らが嫌いでも辛うじて続けているのは、彼を含めて三人。それがいなくなれば、二年生以下は半分になってしまいます。彼女は、わかっていないのです。人が変わったのに、同じ時間を続けることは出来ないと。同じ相手もいないのに、全く同じように出来ないと。 愛好会長も愛好会長です。後に聞いたのですが、彼が他と話さないのは、演技であると。それにより、周りの反応を見て、動き方を決めているのだと。それを告げたのは、来期の部長。さて、何故そうならば、今のように二年生の大半がやめてしまう前に行動を起こさなかったのでしょう?また、何故来期部長はその言葉を簡単に信じたでしょう?もしそうならば、明らかに間違えていると、彼は思いました。二年生と上級生との間に深い溝を作り出し、存続すら危うくさせた愛好会長の演技に、何の意味があるというのでしょう? 彼は、大学内のバイトを口実に、その部屋から逃げ出しました。それ以上、耐え切れなかったのです。もちろん、バイトなどありません。ただ、その四人がひたすらそういったくだらないことを続ける醜態を、見ることが出来なかっただけです。文句を言えば、尽きないでしょう。・・・
っつーか、上等だっつの。だいたい、筋の通ったことも言えねぇ、やれねぇで、てめぇらが楽しめればいいってか?うちのサークルのコンセプトは『みんな仲良く一緒のサークル』。その24歳がいってた。前がそうだったんだとさ。サークル終わりにみんなで一緒になんか歌ってから、解散。色々遊び行って、ストリートも一緒。 冗談じゃない。ってか、気持ち悪い。ガキだなぁとは思ってたんだけどね。最初は、そうだった。その程度で済んでたんだ。 けどな、それは建前だってのが割れるのは、すぐだった。『みんなで仲良く一緒のサークル』を標榜しているのに、そういう行動がないってことかってこと。例えば、そいつはたまに親戚だか友達だかを連れてくるけど、僕らが連れてきたら、凄くやな顔するしね。親しい奴数人とだけ、飯を食いに行く。せめて、誘うくらいの行動は必要なんじゃないか?まぁ、断られるのが大半だとわかっててもよ。 結局、そいつは、自分がいたい場所を『みんなで仲良く一緒』ってことにしてるだけさ。まぁ、よっぽどそっちのほうが人間だけどね。見てる分には、それは面白いもんだけど。自分が所属してるところだから。こいつが作った雰囲気のせいで、やめていった奴を僕は知っている。何人もね。 それに、この人のせいで、部室はほとんど同じ人しか集まらない。他の部員は、他のところでやってたり、来なくなったり・・・僕も、ほかのところでやってるよ。こいつが卒業したら、どうなるんだろうね?よくも悪くも影響力はある。だからこそ、そいつの友達しか、部室には来ない。卒業してこなくなったら・・・つぶれちまえばいい。 ともかく、そいつの話すことにいらいらしてね。なんか、聞いた噂じゃ、いじめられてたことがあるから、仲良くがいいとか言うらしいが。だからなに?いじめくらいなら僕もあるし、もっと痛い思いした奴いっぱいいるわ。素直に吐けよ。自分の居場所、ちやほやされる居場所が欲しいだけだって。 っつーか、本当は口論したいんだけどね。悪いけど、何時間かあったら、心、ボロボロに出来るぜ?時間さえあれば、引きこもって出てこなくさせることくらいは。あぁ、別に肉体的になにをするわけでもない。精神的に、矛盾につけこみ、広げていくだけで。はっきり言えば、あいつらとは、見てきたもんが違うんだよ。お前と違って、一人でいられる。それだけでも、十分マシだと思えたよ。てめぇらみたいになるんなら、死んだほうがマシだ。 この前、連れを馬鹿にされたときは、マジで切れたけどな。言う前に、消えやがった。悪いけど、次は容赦しねぇ。俺の仲間ァ馬鹿にした奴は、不幸になってもらうことに決まってんだよ。しかも、お前は僕がどんな連れとせっしてるかもわからねぇくせによ。少なくともお前らよりは、社会を知ってる奴らだよ。ついでに言えば、礼儀も、義侠心も優しさもな。人間だよ、あんたらも。少なくとも、僕をここまで落とすのは、すごいと思うわ。久しぶりに『人間』みて堕ちたよ。いつもは、斜めに笑っていられるんだけどな。
おえらい綺麗なあんたらにゃあわからねぇかもしれませんけどね。地べた這いずり回って生きてる人間にも、プライドなんてぇもんがあるんでございますよ。
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