囁き
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2001年02月13日(火) |
振り返ってしまった日 〜『贖罪』〜 |
いとこの祖母(つまり、父の弟の奥さんのお母さん(苦笑))のお葬式と、火葬があった。そのために、いとこ達は東京に出てきていたわけだが。通夜程度ならまだしも、火葬場に足を運んだのは、もう六年も前、祖父が亡くなったとき以来だった。そのとき僕は、まだ12。涙一つ流さなかったことを、今でも覚えている。いとこ達も、そのときの僕と同じ様子のように感じた。涙を流すわけでもなく、取りたてダメージを受けている様子も感じられない。疲労と、そして、早く帰宅したい思いの方が強かったのだろう。
目の前には、知らない、かなりお年を召した女性の写真が飾られていた。小さな宗教に入っていたらしく、経が書かれた襷のようなものをかけている人も、いた(余談ではあるが、その宗教に勧誘される。親戚の顔もあるため、やんわりと断ったが、どうやらえらく気に入られたようだ(苦笑)。聞いたこともない宗教に勧誘されるのは、今年度で、もう4回目。人手不足なのだろうか?(苦笑))。そこまでは、なにもなかった。棺が下ろされ、花を置く。そこで、僕の思考は、止まった。 4年ぶりに、人の、魂の入ってない器を見た。・・・否、僕は、それすらも見れなかったんだ。事情があり、僕はあいつら・・・僕の事を慕ってくれていた仲間と、護ると誓った、女の子・・・の、葬儀にも、通夜にも行けなかった。
花を飾られていく、知らない女性のなかに、彼女が浮かぶ。せめて、花の一輪くらいは、彼女の横に飾ってあげたかった。僕が出来たことは、墓の前に花を飾り、泣くことだけ。
昔を思い出し、涙を流すことは、今の僕には出来ないことだ。涙を長し、浸る時間なんて、ない。僕は、手伝うために来ているのだから。葬儀に来ている、沢山の子供の面倒を見、付き合いで、会ったこともない他人と談笑し、そして、動く。ただ、一度だけ、吐気が込み上げ、退避したが・・・弱さを、憎む。
いつか、この事を、詳しく書く日が来るのだろうか・・・
『贖罪』 別れ際にもう一度 あなたを抱き締めたかった こんなにも騒がしい街の中で すれ違いそうになる二人の生き様を 沈みゆく太陽の光と共に 君の姿を瞳に収めた 無理にでも離れないようにするために 何度口にしようと思っただろう 君を愛している、と 舌に乗せるたびに照れ笑いを浮かべた ガラでもねぇって思ってた 言う必要ねぇって思ってた でもそれじゃだめなんだよね それが今日わかった あなたがこの世界から消えてしまった日 遅かった 今 思っても仕方がないんだ 何度夢見ただろう 君が僕に向かって微笑む姿を 何度も追いかけようとした でも真っ暗の部屋の中で眺めた窓の外に 静かに光り始めるネオンの光に 小さく横に首を振るあなたの姿が見えた 僕が背負っていた愛 それこそが僕の背負う罪だろう 裁くのが君という存在ならば 何をしてもその罪を償えることはないだろう もし僕の罪が許されるのなら あなたのことを愛していると 誰よりも愛していると 許されるならば・・・ 許されるならば・・・』
過去に書いたことがある詩。いまは、あの子よりも愛している女性がいることに、久しぶりに驚く。もう、人は愛せないと思っていたのにね・・・(苦笑)。いてくれてありがとうな、『治美』
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