2004年09月27日(月) いってきます。
 

思い立ったら吉日。
昔の人は、本当にすばらしい言葉を世に残したものだとわたしは思う。
カメラと食料と日記帳とボールペンと色鉛筆と。
なんだかいろいろと詰め込んだリュックを
玄関にどさりと置いて、靴を履く。

振り向くと、そこにはさっきまで台所にいたはずの母が立っていた。

「あぁ、びっくりした。やだなぁ。背後霊みたいに。」
「また行くのね。」
「うん、帰りはきっと遅くなるわ。」

引き止めるかと思っていた母は、うっすらと微笑を浮かべていた。
きっと分かっていたのだろう。
わたしがまた、幸せを探しに旅立つこと。
今度はもっと、もっと遠くを目指していること。

「分かっているわよ。自分の娘のことだもの。」
「うん、ありがとう。」
「あんたの帰る場所はわたしが守っていてあげるから。心配せずにいってらっしゃい。」

力強い母の言葉に、わたしは思わず苦笑する。
母が作ってくれたおにぎりを受け取って。
玄関の扉を開く。
涼しい風がひゅるりとほほを撫でた。

後ろ髪引かれる思いとはこういうことを言うのだろうか。
なかなかやるな、昔の人は。

「いってきます。」

こうしてまた、わたしの幸せ探しの旅が始まった。





↑エンピツ投票ボタン

my追加
いつも読みに来てくれてありがとう。
※マイエンピツは告知しないに設定しています。