バナナの目 - 2004年07月16日(金) 娘のびー子は毎日プレーンヨーグルトを半パックずつ食べる。 花粉症対策の一環として定着した食生活だ。 何も加えずそのまま食べることもあるが、ヨーグルト+バナナ+蜂蜜少々という組み合わせで朝食がわりにしていることも多い。 ある日、びー子がバナナの皮をむきながら言った。 「おかん、バナナって縦にきっちり三分割するの知ってた?」 「え? 何それ、知らな〜い」 「ほら・・こうするとね・・」 「おおおぉ〜〜っ!」 バナナの実に対して横方向から静かに均一に圧力をかけていくと、縦方向に三つに割れていくではないか。 「びー子、すごいよ、こりゃ大発見だぁ〜〜っ!」 刃物も使わずに、バナナの実がパラリと三つに分解するのは面白い。 だいたいバナナを切る時には輪切りや斜め切りにすることが多いから、縦割りになったその形も目に新しく珍しさ倍増である。 「これは薪がスパッと割れたときと同じ種類のキモチ良さだな」 「ふ〜ん、そうなの?」 「薪割りは木の目を読んで、そこに気を集中して割るのがカッコイイのさ」 「あ、そういえば、岩石にも目があるよ」(彼女は高校時代地学部である) 「そうか、石にも コン! パキっ! ってところがあるんだな?」 「うんうん」 「ふむぅ、そうするとこれはバナナの目を発見したってことだな」 「おうおう」 「でもさぁ、なんか人間ってバカだと思わないか?」 「何で?」 「だって、もしサルだったらどうよ。バナナが縦三つに割れたところで別になんとも思わないんじゃないか?」 「う〜ん、まぁ、バナナに変わりないよね〜」 「人間だからこんなことを面白がったりするんだよな。おまけについついこれで何かできないか考えちゃうんだよ」 「何かって何?」 「たとえばバナナ割りを芸にまで高めて巡業するとか、縦割りバナナ健康法を考案して一儲けするとか、バナナの目が人類を救うとか・・・」 「っつーか、ろくでもないね、それ」 「そうなんだよ、ホント人類ってろくでもない存在だよな」 「その場合の人類って、おかん限定じゃないの? もけけ・・」 「もけけってなんだよ、もけけって!」 「まぁ、でも、何でも空爆すればいいと思ってるどこかの大統領よりはマシかもね」 「そうそう、バナナの目の平和利用こそ人類の叡智じゃ〜!」 かくして、ろくでもないが平和を愛する親子は、その朝以来、きっちり縦三つ割りにすることにささやかな幸福を見出し、バナナの目を探求しているのである。 ※まだやったことのない方はぜひお試しください。うまく割れると楽しいですよ! ...
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