ひとりびっち・R...びーち

 

 

どんぶり勘定 - 2002年01月15日(火)

 一年の計は元旦に有り。

 しかし、すでにお年玉付き年賀ハガキの当選番号が発表されているにもかかわらず、年賀状を断念するか否か悩んでいるふりをしている私には、当然のことながら元旦の計などない。

 元旦に計がなく、大つごもりに総括もなく、オールシーズン、年中無休でアバウトだということは、もちろん金勘定の方も似たようなものである。
 おこづかい帳や家計簿を試みたこともあったが、一度として収支が合ったことがなく、使途不明金と謎の余剰金の追及に膨大な時間を費やすだけなので、とっくの昔に諦めた。

 あればあったなり、無ければ無いなり、という典型的などんぶり勘定だ。
 
 ところで、どんぶり勘定のどんぶりが丼じゃないっていうことを、皆さんはご存知だっただろうか?

 以前、心配御無用の「御無」を「ゴム」だと思っていた話を書いたが、今回はそれを凌ぐ、半世紀を越えた勘違いが判明したのだった。

 以下、先日の親子3代(母・私・娘)の会話である。

 ・・・・・・・

 娘:ねぇ、ねぇ、どんぶり勘定ってどういうこと?

 私:いいかげんな計算のこと・・・かな?

 母:昔は升でモノを量ったんだけど、それを丼で代用していいかげんに量ることから来たんじゃないかしらねぇ

 私:現代風に言うなら、計量カップを使わないコップ勘定ってこと?

 娘:ふぅ〜〜ん、そうなのか〜

 私:ちょ、ちょっと待った! 広辞苑を引いて確認だっ!

 母:何で?

 私:当然だと思っていることが間違っていることがよくあるからさ

 娘:うんうん、引いてびっくり! っていうことが多いよね〜

  ・・・ぱらぱら(娘、広辞苑を引く)

 娘:あ〜〜〜っっ! やっぱり違うよぉ〜〜!

 母:えっ?!

 娘:「どんぶり」って、職人さんの着ける腹掛けのことって書いてあるよ〜

 私:むむぅ、やはり勘違いシリーズであったか・・・

 娘:予算を立てたり決算をしたりせず、手元にある金にまかせて支払をすること、だって。

 私:腹掛けのポケットからお金を払っちゃうってことみたいだね

 母:あらあら、ずっと食器の方の丼だと思ってたわっ

 娘:すんごく長い勘違いだったね〜

 私:生きてるうちに判明して良かったね〜

 母:そうね、考えてみれば六十ウン年も勘違いしてたっていうわけねっ

 ・・・・・・・
 
 ところで、ポケット勘定というと思い当たる人物が居る。

 私たち親子の囲碁の師匠なのだが、私の知る限りにおいて財布というものを持っていたことがない。
 入金も出金もポケットオンリーのはずである。

 「いやぁ、最近なんか金が無くなるのが早いなぁ、って思ってたんっすけどね、良く見たらポケットに穴が空いてたんですよ〜、いや、ホント、ヤル気なくしますって」

 「あはは〜、ケチなバイトするぐらいなら師匠の後ろをついて歩いた方が良さそうだね〜」

 な〜んて会話があったことを思い出し、師匠の大真面目な顔も思い出した。

 うん、とりあえず、どんぶり勘定をする人に悪人は居ないってことだな。

 ・・・・・・・
 
 #岩波書店「広辞苑」第4版より
  



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