長い旅 - 2001年11月08日(木) 実生活ではここ2日ほど、一歩も外に出ていないのだが、久々に夢の中で長い旅をしてきた。 大阪・富山・北海道。 行き先の組み合わせは、寝る前にしたネット巡回が影響しているに違いないのだが、登場人物やエピソードについては、毎度のことながら、自分の脳の混沌に唖然とするばかりである。 ・・・・・・・ 近未来風集合住宅の一室。 古い友人Mと、8mmビデオを見ている。 何の根拠もないが、そこは大阪ということになっており、誰の住居かは定かではない。 Mの別れた夫の彫刻の作品と、彼の笑顔が繰り返し再生されるが、その顔はひどく殴られて歪んでおり、唇は切れて血が滲んでいる。 見ているTVはひどく旧式の白黒TVで、ブラウン管に水色の樹脂でできたカバーがかけられているタイプだ。 そこにMの友人というミュージシャンの青年が訪れて、私の東京にある住居の配管にトラブルがあるので工事の必要があるという。 彼は音楽では食べられないので、水道の配管工をしているのだ。 急遽打ち合わせが行われ、工事の期日が決められた。 その青年があわただしく帰って行き、ビデオの画面が青い砂嵐になったところで、私は、その青年が忘れていった携帯電話をポケットに入れて旅に出る。 ・・・・・・・ 喫茶店と工房と画廊が一体になったようなロッヂ風の大きな家。 またしても何の根拠もないが、そこは富山で、誰の住居だか定かではない。 私は、以前にその喫茶店に通っていた常連客だったらしい。 郊外にあるその家は、今は喫茶店ではなく、常連客や作家やその家族たちがコミューンのような暮らしをしている場所になっており、タピストリーや陶芸、木工の作品が雑然と並ぶ中を、小さな子供たち、そして犬や猫や兎や羊などの動物が走りまわっている。 昔知っていた人にも会って談笑するのだが、それが誰だったのだかは、よく思い出せない。 その家では、大人も子供も菜園の手入れやそれぞれの制作に忙しく、働いたり遊んだりしている。 客分である私は、何となく手持ち無沙汰になり、片付ける人のいない流し台でひとり皿を洗っていると、台所の窓からは、遠く雪を戴いた稜線が見えた。 忘れ物の携帯にメールが届く。 十数文字しか送れないショートメールだ。 「ごはんはちゃんと食べましたか?」 ・・・・・・・ 小高い丘の上で、Mと話をしていると、ひとひらの雪が舞い降りてくる。 三たび、何の根拠もないが、そこは北海道の山間の小さな町である。 どういう事情だかわからないが、私は小さな子どもを一人預かって、東京に連れて帰らなければならない。 あっという間に白くけむっていく秋の景色、近くの林にもさらさらと雪が降り積もり、足元の地面もじょりじょりとしたみぞれの状態から、真っ白な雪にみるみるうちに覆われていく。 本格的に積もってしまうと帰れなくなる。 慌てて駅を探し、新幹線の切符を入手する。 無人駅のような小さな駅に、ランダムに停車している何台もの列車。 誰に聞いても、乗るべき列車がどれなのかわからない。 発車時刻が迫っているので、切符の座席番号を頼りにそれらしい列車に乗るが、中はひどく風変わりなレイアウトの寝台車になっている。 1mぐらいの高さに固定されたソファーのような寝台と、床に直に敷かれたマットレスのような寝台が、交互に並んでいるのだ。 番号を照合すると、私の座席は高い方のソファーだ。 寝心地は良さそうだが、子ども連れではちょっと苦しいかもしれない。 そうだ、子どもだ。 彼はどこにいるんだっけ? 慌てて確認すると、彼はポケットの中で丸まって熟睡している。 ん? ちょっと小さすぎるけど、まあ無事だからいいか。 って、いいのか?? 何もかもに確信が持てないまま発車を待っていると、隣の席の男女が話しているのが聞こえてきた。 新幹線だったら、もう少し早く東京に着けるのにな。 だから、女満別から飛行機に乗ろうって言ったじゃない。 でも、この雪じゃ、賭けになっちゃうよ。 え? これは、新幹線じゃないんですか? 違いますよ、新幹線は確か上のホームから出るんじゃなかったかなぁ。 慌てて飛び降りて周囲を見まわすと、銀色にオレンジや紫のストライプの入った本物の新幹線が、高架線から発車したところだった。 ・・・乗り遅れてしまった。 ポケットの中には、預かった小さな子どもがいる。 配管工事は明朝9時。 さあ、どうする?! 忘れ物の携帯にメールが届く。 「ちゃんと眠れましたか?」 ・・・・・・・ いやはや、長い夢、長い旅。 ちゃんと眠れてなんかいるもんか。 ぷんぷん! ...
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