ひとりびっち・R...びーち

 

 

隣りの事件 - 2001年10月30日(火)

 今しがた、ちょっと珍しい経験をして帰ってきた。

 ミスタードーナッツのカウンター席、私はバス待ちでコーヒーを飲んでいた。
 けっこう混雑していたので、すぐ隣りの席にも若い男の子が座った。

 しばらくして、彼の注文した飲茶セット(飲み物はアイス・ティー)が運ばれてきた。
 そして次の瞬間、彼は、「ぅあぁ〜っ」と、小さな悲鳴のような声をあげたのである。
 思わず彼の方を見ると、ガムシロップの空容器を手に呆然としている。

 最初は何が起こったのかわからなかったのだが、彼はスタッフに向かって、こう言った。

 「あのぅ、スミマセン、これ(ガムシロ)もう1個ください」

 「はい・・ぃ?」

 「こっち(ラーメン)に入れちゃったんで・・・」

 「は、はい、どうぞ・・・あのぅ・・・こちら(ラーメン)の方もお取替えしますよ」

 「あ、う、はぁ、申し訳ないっす」

 手早く片付けられるガムシロップ入りラーメン。
 彼は呆然としたままアイスティーに新しいガムシロップとミルクを投入したが、突然ハッと我に返ったようで、いきなりトイレに駆けこんでしまった。

 カウンターの奥からはこんなやりとりが聞こえてくる。

 「どうしたんですか?」
 「ガムシロ入れちゃったんだって・・・」
 「・・・」(必死に笑いをこらえている気配)

 というところで、私もハッとした。
 あろうことか、私もコーヒーカップを口に運ぶ途中で固まったまま、呆然としていたのである。
 
 何しろ、ラーメンにガムシロップを入れてしまった現場に居合わせるのは初めての経験だったので、当人に負けず劣らず呆然としてしまったのだった。

 ・・・これはマズイ。
 こういう場合は、何事もなかったように振舞うのが大人のルールだ。
 瞳孔も口も半開きでフリーズするなんて、小学生並みの反応じゃないか。

 このままだと、彼がラーメンを食べ、肉まんを食べ、アイスティを飲み終わるまで、ず〜っと注視してしまいそうだ。

 バスの時間にはまだ早かったのだが、私はコーヒーのおかわりをあきらめ、そそくさと席を立ったのだった。



...




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