under one umbrella

2006年01月31日(火) 言ったじゃない



ねぇ、どんなに楽しい時間を過ごしても。
どんなに多くのキスをもらっても。
あなたの梅宮さんへの想いを忘れることが出来なかった。
私の弱さだったのかな。
逃げだったのかな。


今までに何度となく、こんな話し合いをしたね。
私が他の男の人と必要以上に親しくするのを、あなたは嫌った。
それはあなたが元来持つ独占欲なのか。
一般的な男の身勝手な思いなのか。
あなたが私を本当に好いてくれているからなのか。
いまいち私にはわからずに、苦しかった。
それでも離れたくなかったから。
見て見ぬ振りをしてきたの。



相変わらず、あなたは何も言わない。
言ってくれない。
あぁ、この人はまた目をつぶってしまおうとしている。
傷つけたのは確かに私。
でも、私が苦しんでることにも気づいてよ。
いつからこんなに我侭になってしまったのかわからないけれど、
苦しみを我慢し続けることが、あなたとのためになるなんて、
多分間違っている。



寺島は確かに目をつぶろうとしていた。
私が体に添えようとした手を軽く払いのけた。
だけど今までと違ったのは、家に帰ろうとしないことだった。
私を見つめ続けていた。
正直途惑った。
こんな反応は初めてだ。



「俺が今までに、嫉妬をあからさまにしたことがあったか」


「ううん。

そんなことはなかったし、あからさまではなくても嫉妬していることは知ってた。


だけどその嫉妬が、どんな感情からくるものなのか、わからなくて。



梅宮さんのことがまだ好きだって、あなたは言ったじゃない」







沈黙。






空気は冷たかった。
5m先には私の家があった。






「ねぇ陽ちゃん。

変な意味じゃないけれど、寒いから部屋に入ろうか。ストーブがある」





ここで寺島が頷いたことも、私には意外だった。




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