本当に久しぶりに。 失恋気分と言うか。 敗北気分と言うか。
ふと湧いた、でも怖い疑問を口に出した。 それは、後悔していない。 いや、別に後悔は一つもしていないけれど。
どうして、お互いがお互いの未来にいなくて、 そしてそれが当たり前なんだろうね?
あぁ、まりあはいないよ、と断言した寺島の声を、 あたしはどう受け止めたか。 よく覚えていない。 多分思考が止まってた。 わかってたのにね。
ねぇ、じゃあ陽ちゃん。 今、一緒にいる意味って何だろう?
ひまつぶし。 次までの中継ぎ。
あ、あ、あ、そっかぁ。 成る程ねぇー。 驚くほどあたしはいつものように、相槌を打ってた。 …つもりだったんだけれど、どうやらそれは頭の中だけで、 口は動いていなかった。
まりあにはね、足りないものがあるからね。 だから絶対いない。
何が足りないの?と聞く勇気はそのとき、あたしにはなくて、 言わなくていいよと笑うのが精一杯で。
あぁもうここには。 何度書いたかわからないけど。
もうこの人に本当に抱き締められることはないのかなって。 キスすることもないんだろうって。
思うんだから仕方ない。 感じるんだから仕方ない。
だから書かせてください。 書かないとあたしが壊れそうで。
必ず離れる日が来る。 そう書きながら、どこかで小さく、 来ないことを祈るあたしがいた。 でももういない。あたしが殺した。
離れる日は、こんなにも確実で、 遠くて、近い。
あたしは、 この恋愛が終わったら、 軽い恋愛しかきっと出来ない。 元々、そんな恋しかしてなかった。 こんなに愛する恋愛なんて出来ない。 次は、果てしなく愛されることを望むだろう。
いや、待て。 もう終わっているのか?
あなたの未来にあたしがいないことを知ってるから、 あたしの未来にはあなたがいない。
別の人の胸に、あたしが収まる? 別の人と手をつなぐ? 別の人に抱かれる? 別の人に愛を囁く?
ありえない、なんて思うけど。 何年かすればそうなるんだ。 たった、何年か。 たった。
こんなに胸は苦しいのに、 いつか薄らいで。 寂しくもなくなって。 涙も乾いて。 その儚さが、悲しい。
気がつけば5月。 2年前の今頃、どろどろで。 …思い出さないほうがいい。 また歩けなくなる。
もう考えない。 あたしは歩かなければ。 明日がある。 未来がある。 「あたし」にならなければ。
笑わなければ。 動かなければ。 何も。何もやってこない。
わかってる。 そろそろ現実を見る。 まだ離れない。 だって周りには誰もいないもの。
どうすればいいかなんて一つだけ。 あたしはあたしでいるしかない。 他のものになんてなれない。 「あたし」を変えることは出来るけど。
変わればきっとまた、何かが見えるね? 別の光も見つけられるね? 希望も持てるね? 優しくなれるね?あなたに。
くるくるっとあたしを回して。 笑おう。
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こういう場合。 こっちがキレるって手もありかなと思うけれど。 もうそんな、「手」とか「作戦」とか、 そのへんを通り越してる気がする。
あたしがいなくなったらどうするのかなぁとか、 考えても無意味すぎる。 だっていなくなったことは、何度もあったもの。 それでも一緒にいたんだもの。 繰り返すなんて馬鹿らしい。
でも、過去と今は違うから。 もしかしたら繰り返さないかも。
あたしはどうしたいだろう。
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