駅から家に帰る道に、 国道から入ってくるための道と交わるところがある。
高校時代、 携帯を持っていなかったとき、 幸子と話したいときは、 その道が交わる場所で、何時間も待っていたっけな。 幸子の帰り道だったから。
ときには幸子より先に寺島が通って、 その頃は友達だったけれど、 一緒に帰ろうー♪と言って寄って行ってた。
藤原と電車の時間が合えば、喋って帰っていたし、 藤原と2人で寺島を待って、つかまえたりもした。
高校が楽しくなかったあたしには、 その帰り道が楽しみでもあった。 今日、誰かに会えるかな。
当時からあたしは、 寺島と仲が悪くなると、 離れるとかメールを拒否するとかやってた。 「好き」って明確に感じてたわけじゃないけれど、 特別な存在では、あった。
幸子を待つあたしの横を、 寺島が、「バーカ」って言って通り過ぎていって、 いつもなら「何よー」って怒って呼び止めるところを、 ふん、っとあしらって。 理由は忘れてしまったけど、寺島から離れようとしてた。
そしたら逆に寺島が寄ってきて、 「どうした?反応がないとつまらない」 って。
きょとん、としてしまって、 すぐに可笑しくて笑ってしまったのを覚えている。 それだけで、離れようとしてたことなんて忘れてしまった。 そんなあたしは、変わってない。 ふとそう思うときがある。
メールを拒否したときは、 寺島が駅で待っててくれた。 まだ何にも始まってなくて、ただの友達だった。 あのときも、そんな寺島を見るのが、 くすぐったくて、嬉しくて。
帰り道が一緒じゃなかったら、多分、 付き合うことになんてなってなかった。 同じ学校に行ってても、なってなかった。 いろんな要因が重なってて、偶然もあって、 4年後の今、 形はどうあれ、あたしは寺島の傍にいて。 寺島の笑顔を近くで見れて。
ありがたいなぁ、なんて思う。 思える、幸せ。
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